1枚8万円のシャツが汚れる前に「元を取る」ことはできるのか?ファッションエディター・大草直子が<服1着の適正価格>を考えてみる
◆お金をかけるならどっち? 白いシャツかグレーのパンツか 答えは、グレーのパンツです。 その理由は、明快。 白はどんなに気を付けて、丁寧に扱っていても絶対に汚れるから。 どんな服でもおろしたてを着た日から劣化します。 疲れがうっすらとディテールにたまり、あるタイミングで、手放さざるを得ないのです。白のシャツは、それがあっという間に来るアイテムです。 減価償却を考えてみてほしい。1枚で、中にタートルを合わせて、もしくは襟や袖、裾を生かす着こなしで活用して、できるだけ「使い倒した」としても、投資する意義がどれだけあるでしょうか。 例えば1枚8万円のシャツ、汚れる前に「元を取る」のは難しい。 かかるクリーニング代ものせると、なかなかにハードルが高いな、と実感しています。
◆今1本おススメするなら…… 対してグレーのパンツ。黒系にもブラウン系にも合う、最強カラーであり、かつ、季節を問わず使える。 シャツに比べると、デザインの幅が狭く、流行が反映されるのは、せいぜいは、テーパード、ストレート、スリム、ワイド――と、シルエットくらい。 タックが入っているか否かもありますが、とは言っても、そこまで大きく変わらない。 最初に書いた著書『おしゃれの手抜き』(講談社)でも、“パンツはグレー、3本で良い”と書いていますが、その思いは、今でも同じ。15年経っても変わらないので、この先15年もきっとそう。 体型が変わる、という可能性はあるので、今1本おススメするなら、ミドルグレー、テーパードシルエットのタック入りです。 ※本稿は、『見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
大草直子
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