渋谷区「路上飲酒規制」に賛否両論…国・自治体が “文化の有無”を判断するのはありか?
不確かな理由に基づく規制は警戒すべき
「規制などに関して権力側が『文化』や『常識』などの抽象的な概念で説明を行おうとした場合には、市民の側は細かく突っ込み、概念の内容を具体化させる必要があります」(杉山弁護士) もし、「文化」や「常識」などの概念が具体的に分析して説明できるものであれば、規制も一定の正当性を持つ可能性がある。 一方で、権力側が具体的な説明も行わずに「こういった文化がある」「これは伝統だ」などと掲げているなら、市民の側は警戒すべきだという。 「説明もできない不確かな理由によって、規制を押し通そうとしている兆候が見られるためです」(杉山弁護士) 法学を離れて社会学や人類学などの分野に目を向けてみると、伝統や文化は国家や権力によって恣意的に「創造」されたものである、と指摘されることが多々ある。 また、クリスマスやバレンタインと異なりハロウィーンが日本に定着したのは最近だが、「ハロウィーンの発祥は欧米だから日本の文化ではない」とも「日本流のハロウィーン文化が存在する」とも主張することが可能だ。 かように「文化」という単語は曖昧で、論争を呼ぶ。路上飲酒やそれを禁止することの是非とは別に、行政が安易に「文化」を持ち出すことについて、私たちは注意の目を向けるべきかもしれない。
弁護士JP編集部