群雄割拠のエコカーエンジン「石油編」 130年の歴史と技術革新、ハイブリッドで生き残り
■ハイブリッドシステム
長所:自動車で初めてエネルギー回生を可能にした 短所:電気とガソリンの両方の機関をもつため重量が重い 代表的な車種はトヨタ・プリウス。 減速時のエネルギーを発電に使い、エネルギーの回収ができることが最大のメリット。プリウスの場合、停止状態から発進する時に最も力が出るモーターと、高速時に力が出るエンジンを切り替えながら使えるいいとこ取りのシステムだ。 現在のところ主流派は普通のレシプロ・ガソリン・エンジンとモーターによるシステムだが、その組み合わせは様々な可能性がある。プリウスの場合はエンジンが駆動動力源でありつつ発電機動力源でもあるシステムだが、駆動動力は全部モーターに任せて、エンジンは発電機としてのみ機能する考え方もある。これをレンジエクステンダー型と呼ぶ。このタイプの代表としてはGMのボルトがある。 そもそもエンジンは回転数によって効率が違うから、ホントは様々な回転数で使うにはあまり向いていない。常に同じ回転数で運転(定格運転)する方がはるかにいいのだ。ちなみに船や飛行機のレシプロエンジンでは原則的に定格運転されており、エンジンの回転数で制御するようなことはあまり行われていない。 定格運転しかしないならエンジンはもっと構造を単純化して小型軽量化出来る上、効率良く運転できるのだ。もし今後このレンジエクステンダー型ハイブリッドを作るとすればロータリーエンジンはポテンシャルが高い。実際マツダはレンジエクステンダー用のロータリーを試作している。 石油系燃料を使うクルマは今後もまだまだ主流であり続けるだろう。そのエコ技術に関しても日本のメーカーは世界のトップグループにいる。問題のひとつは技術が複雑になり続けているため、その技術がどんなものかをユーザーに伝えることがどんどん難しくなっていることだ。そんなメーカーの努力をこれからもできるだけ多くの人に伝える原稿を書いて行きたいと思う。 (池田直渡・モータージャーナル)