ECB追加利下げの見通し-世界の主要中銀の大多数が同時緩和の様相
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は12日に開く政策委員会会合で恐らく追加利下げを決めると見込まれる。米金融当局も18日に利下げに動くと予想されており、世界の主要中銀の大多数が同時緩和に傾斜する形となる。
ECB当局者は2回目の利下げに踏み切る方針を示唆しており、年内にさらに歩みを進める意向が当局者にあるか探ろうと、投資家は綿密に調べることになりそうだ。2024年中には少なくとももう1回の利下げの可能性があるとみられている。
今月4日にはカナダ銀行が3会合連続の利下げを決めたばかりであり、インフレリスクは後退したとみる主要先進国・地域の中銀が経済成長支援に軸足を移す状況にあって、12日のECB政策委員会と18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げの見通しは、一段と歩調を合わせた転換を浮き彫りにする。
このうちユーロ圏の場合、賃金の伸びを示す重要な指標で4-6月(第2四半期)に伸びが鈍化したことで、ECB当局者が勇気づけられることになるだろう。
それと同様に、11日に発表される8月の米消費者物価指数(CPI)は、物価上昇圧力が落ち着きつつあるとの安心感を米当局者に与える可能性がある。6日に発表された同月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが予想を下回った。
今月の一連の中銀会合を巡り投資家が抱いている疑問は、こうした利下げが金融緩和サイクルの一層の深化にどの程度つながっていくかだ。緩和が進めば、主要国の金融政策は景気抑制的でなくなるだけでなく、景気刺激的になり始める可能性がある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニアエコノミスト、デービッド・パウエル氏は「ECBが12月にも0.25ポイントの追加利下げを行うとBEは予想するが、賃金の伸びの高止まりや粘着的なサービスインフレを踏まえ、政策委員会は事前のコミットメントを控えると考えられる」との分析を示した。
4-6月期のユーロ圏実質GDP(域内総生産)確定値が前期比で改定値よりも弱い数字となったことなどを受け、ラガルドECB総裁の12日の記者会見では、成長見通しが焦点となりそうだ。