東大生100人に聞いた「親がしてくれたメンタル不調の対策と効果」
東大に合格するような子供が育つ家庭では、親のさまざまな工夫が行われている場合が多い。勉強面だけでなく、生活面やコミュニケーションの面から、ほかの家庭とは少し異なる距離感や働きかけが見られる。
筆者(中高生指導の東大生集団 カルペ・ディエム代表 西岡壱誠)は『自分から勉強する子の家庭の習慣』(すばる舎)を上梓した。これは、東大生100人へのアンケート結果をもとに、東大生の親が子供とどのように接していたのかについて概観するものだ。今回は、子供のメンタル不調への対応について共有したい。
東大に合格した受験生たちの中にも、メンタル面で不調になった経験がある人は少なくない。特にこの5月は、五月病と呼ばれるメンタル不調が発生しやすい時期だ。そんな時、親は子供にどう接している場合が多いのだろうか。
子供の生活リズムを整えるコツは?
今回あらためて調査してみたところ、メンタルの不調を解消するためには、まず「子供の生活リズムを整えること」に努めていた家庭が多かった。朝起きて日光を浴び、夜はしっかり眠る。子供がメンタル面で不調を訴えた時こそ、このサイクルを重視していた家庭が多かったのだ。
たとえば「精神的につらい」「考えごとをしてしまって夜全然眠れない」「起きなきゃという気持ちはあるのにしんどくて起き上がれない」などと訴えるお子さんに対して、「それなら気が済むまでゆっくり寝ていれば?」と、昼過ぎまで眠ることを認める家庭は多い。
しかし、実はこれは逆効果だと言える。人間は朝、日光を浴びることによって、脳内にセロトニンという物質が分泌される。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、怒りや焦り、不安などネガティブな感情を抑え、精神を安定させる効果があると言われている。このセロトニンが活発に動くことで、気分が向上すると共に、夜、ぐっすり眠るために必要なメラトニンという物質の大切な材料となるのだ。
そのため、日中はしっかりと日光を浴びることが重要になってくる。昼過ぎまで爆睡して、日光を浴びる時間が短くなれば、セロトニンが十分に分泌されず、メンタルを回復させようと思っても難しくなってしまう。