「鍛えていればいつまでも元気!」は残念ながら関節に当てはまらず…筋肉先生・谷本道哉流<関節の負担を減らすちょっとの工夫>とは
◆関節への負担を少なくする走り方 ジョギングのようなハイインパクト運動は、膝や足首などの関節への負担が大きくなります。ですから、関節への負担を軽減する工夫をしなければいけません。 まず衝撃を受け止める靴は、底の厚い、衝撃吸収性のよいものを選びましょう。レース用にスピードを追求したシューズなどは軽くてよいのですが、普段使いでは使わないほうが賢明です。 走るところも、可能であればアスファルトよりも柔らかい、土や芝生の上、もしくはランニングマシン(トレッドミル)を利用します。ランニングマシン上はアスファルトよりもかなり柔らかくできていて関節にやさしい場所です。 下り坂は飛ばさず、ゆっくり走るようにしましょう。ジグザグ走行をすれば傾斜をゆるくすることができます。ただし、車や自転車など周りの交通状況に十分気をつけて。 なお、自転車や水泳などの運動なら、関節への負担が極めて小さく、ローインパクトな運動になります。ハイインパクトなジョギングだけでなく、別のローインパクトな運動に一部切り替えれば関節の負担をそれだけ減らせます。 また、痛みがあれば絶対に無理をしない。 痛みの出ない頻度、強度、量で行う。ジョギングをこれから始めるという人はいきなり長距離を走らずに、短い距離、ゆっくりしたスピードから始めて徐々に関節(だけではありませんが)を慣らしていく、といった気遣いもとても重要です。
◆関節の負担を減らしたランニングフォーム 最後に、関節への負担を減らす、おすすめのランニングフォームを紹介しましょう。 走り方にもいろいろなスタイルがありますが、ここでは膝などへの負担が小さい「ちょこまか走り」をおすすめします。 ちょこまか走りとは、足を遠く前に出さずに自分の近くにつくようにした走り方。ウォーキングの場合は大股で歩くことが推奨されますが、ジョギングでは大股でストライドを延ばすと着地の衝撃が強くなりすぎてしまうのです。 「カカトから接地」しようとすると自然と足が強く前に出ますので、「足の裏全体で接地」するように意識します。足を大きく出さない分ストライドが減りますので、その分ピッチを上げるようにしましょう。 実はマラソンの金メダリスト、Qちゃんこと高橋尚子選手も、足をあまり前に振り出さず、足の裏全体で接地するちょこまか走りをしていました。このような走り方は接地でのブレーキがかかりにくいため、走行のエネルギー効率がよくなると考えられ、近年では高橋選手のようなちょこまか走りの選手が増えています。 マラソン初級者ほどカカト接地が多く、上級者になるほど足裏全体での着地やつま先での接地(これはかなり難しいです)が多いという研究データもあります。 慣れるまでは難しいかもしれませんが、膝、足首等への負担が小さく、効率のよさからタイムが上がる可能性もあります。一度試されることをおすすめします。 ※本稿は、『学術的に「正しい」若い体のつくり方』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
谷本道哉