“苦手”がくれた教師の夢、吃音の高校生が接客「私は話すことが大好き」
小学生の頃、音読の授業で自分が“吃音”であることに気が付いた。吃音を機に教師の夢を抱いた、高校生の鈴木蒼唯さん。自分に自信をつけるため、彼女が取り組んだのは、“話すこと”のスキルが求められる「接客」だった。 『注文に時間がかかるカフェ』と名付けられた1日限定のカフェで、接客に挑戦した蒼唯さんを取材した。
全国の約120万人が抱える発話障害「吃音」
“吃音(きつおん)”とは、話し言葉が滑らかに出ないことがある発話障害のこと。吃音に悩む人は、全国に約120万人いるといわれている。鈴木蒼唯さんは、岐阜県内に通う高校生。蒼唯さんが、吃音を自覚したのは小学1年生の頃。国語の音読の時間に吃音の症状が出て、クラスメイトにからかわれたことがキッカケだった。「(同級生から)「なんだよその読み方」とか、あと普通に笑い声が聞こえた。そういう言葉を言われたときに、“あー自分ってちょっと違うんだ”と、そのとき初めて思いました」と、当時の様子を振り返る。
吃音の程度や症状は人によってさまざま。最初の音を繰り返す「連発」、音が伸びてしまう「伸発」、言葉が出ず間があいてしまう「難発」がある。吃音の原因は、決して“緊張”だけではない。蒼唯さんの場合は、連発と難発の症状が、家族や仲のいい友人と話している時によく出るという。
音読授業での出来事がトラウマとなり、「言葉を話すことが大嫌いになった」という蒼唯さん。しかし、中学時代にクラスメイトと積極的に会話するなどの努力を重ね、高校生となった今は滑らかに人と話すことができるようになった。 その努力の結果はさらに飛躍し、蒼唯さんは中学生時代からの友人・七海さんとともに弁論大会に挑戦。選んだテーマは「吃音」。挑戦し続ける友の姿に七海さんは、「(蒼唯さんが)中学の頃から、なんとなく吃音かなと思ってました。“つらい思いしてるんだろうな”ってこともあったんですけど、高校生になって弁論大会にも出るようになって、私も嬉しいです」と笑みを浮かべた。