子どもが「放課後児童クラブ」に入れなかった人はどうしているの?【NEXT特捜隊】
小学校の授業が終わった後、親が仕事を終えるまで子どもを預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)。読者から寄せられた疑問を調べる静岡新聞社「NEXT特捜隊」に、静岡市清水区の40代女性会社員から「2年生の娘が児童クラブを利用していますが、4年生になると入れなくなると聞き、心配です。入れなかった人はどう乗り切っているのでしょうか」と質問が届いた。ウェブアンケートを実施したところ、入所できなかった時の対応やクラブ運営への要望などが寄せられた。 12~15日に行ったアンケートには、静岡県内を中心に72人が回答した。「放課後児童クラブの入所や継続を希望したにもかかわらず、希望がかなわなかった経験がある」と答えたのは12人だった。
◆1人で留守番 3年生、または4年生で入所できなかったという回答が目立った。4年生の子どもが入所できなかった浜松市中央区の事務員女性(40)は「学校によっては6年生まで入れるクラブもあり不公平さを感じる」と記した。静岡市葵区の会社員女性(53)は「子どもが3年生に上がる時、定員超過で入所できなかった」と振り返った。 定員超過以外で入所を断念した理由は、「4年生の子どもが辞めたがって退所した」(同区、40代、会社員女性)、「子どもを見てくれる予定だった父が亡くなったため入所申請したが、期限が間に合わなかった」(藤枝市、40歳、事務員女性)など。中には、周囲から4年生は入れないと聞き、申請自体を諦めた人もいた。 入所できなかった時にどう対処したかを尋ねると、「鍵を渡して留守番」「民間クラブへの入所」「自分や配偶者の親が見る」といった対応が聞かれた。預け先がなく、午前中だけの仕事に変更したり退職したりした人もいて、生活への影響の大きさをうかがわせた。 富士市のパート女性(36)は「未就学児の時と比べて子どもの居場所が少ない」と指摘。クラブ以外に子どもが安全・安心に過ごせる場所を地域で増やすよう求める意見もあった。 ◆長期休みが負担 クラブ利用に対する意見も募った。入所する利点として多く挙がったのが安全性。下校時に不審者に遭遇したり、交通事故に遭ったりする危険がないと指摘した保護者が多い。友達づくりや、異年齢交流で社会性が身に付くことを期待する声もあった。 御殿場市のパート女性(48)は利用したクラブについて「宿題をした後はグラウンドで遊んでいた。家にいるより外で遊ぶ環境があってよかった」と振り返る。放課後児童クラブ支援員に対しては「子ども同士のトラブルに耳を傾けてくれた」(静岡市清水区、46歳、自営業女性)と丁寧な関わりに感謝する記述が複数あった。 一方、長期休みの負担やクラブ運営に対する疑問の声も届いた。三島市のパート女性(35)は「長期休みのクラブの開所時間は学校の登校時間より遅いので、仕事を調整した。お弁当も必要だったが衛生環境が心配だった」という。 クラブ運営は自治体が民間事業者に委託するケースが増加しているが、浜松市浜名区の会社員男性(43)は「運営する事業者が変わるたびに支援員やルール、連絡手段が変わる」と利用する側の混乱を懸念した。静岡市葵区の公務員男性(49)は「支援員個人の意欲や心意気に依存している。待遇を改善してほしい」とし、支援員全体の質の向上を願った。 ◆現場からの声 支援員経験者からの回答も複数あった。富士市の支援員の女性(60)は「行政が事業者に運営を委託する際は現場の声を聞き、慎重に行ってほしい」と要望。磐田市の支援員の男性(32)は「クラブ以外の友達と遊びたい高学年児童が多くいる」と児童の様子を訴えた。島田市の元支援員の女性(44)も「長期休暇は10時間いる子もいた。子どもを長時間預けて働かないといけない社会を変える必要がある」と意見を述べた。