巨人・菅野3度目バッテリー賞 メジャー挑戦へ張本勲氏「大あっぱれ」あげる条件は「大谷を打ち取ったら」
スポーツニッポン新聞社が制定する「2024年度 プロ野球最優秀バッテリー賞」の表彰式が25日、都内のホテルで開かれた。セ・リーグは巨人の菅野智之投手(35)―小林誠司捕手(35)、パ・リーグはソフトバンクの有原航平投手(32)―甲斐拓也捕手(32)が受賞。菅野は選考委員の張本勲氏(84=本紙評論家)からドジャース・大谷翔平投手(30)を抑えることを期待され、再戦に思いをはせた。 晴れ舞台で決意を新たにした。菅野は7年ぶりで投手では最多に並ぶ3度目の受賞。来季メジャー挑戦を表明している35歳は、壇上で「この年齢で新しい挑戦ができるのはありがたいし、素晴らしいこと。自分自身を磨いて活躍できるように頑張りたい」と言った。 表彰式では選考委員を務めた張本勲氏から「俺の好きな大谷を打ち取ったら“大あっぱれ”をあげるから。本当は困るんだけどね、大谷が好きだから」とエールを受けた。いまや世界を代表する打者でもある大谷と来季に対戦すれば注目を集めるのは間違いない。「後で(張本氏に大谷の)抑え方を聞こうかなと思っています」と語って笑いを誘った。 大谷との対戦は鮮明に覚えている。球宴も含めると3打数3安打で「(大谷が)1年目のオールスターでもやったし、交流戦でも対戦したことある。余裕で打たれている」と回想。「どう抑えようかな…」と苦笑いも、今季ポストシーズンでド軍を相手に快投したパドレス・ダルビッシュを挙げ「凄い。内角高めにカットボールを中心に投げて、カーブを使いながらっていう。ああいうのは参考になる」とイメージした。 「代理人が各球団と交渉してくれている。僕の方にはまだ話は来ていない」と状況を説明した右腕。12月上旬に渡米し「ハワイで自主トレをやりながら、そういう機会があれば向こうでズームミーティングなりを考えている」と見通しを語る。ハワイなら温暖な気候でトレーニングにも集中でき、急な動きにも対応しやすい。「捕手がぼやけることもあったし、オフに入ったらやろうと決めていた」と、このオフに左目のレーシック手術を受けて右目が1・5で左目が0・3だった視力も矯正。「世界が変わった」と視界は良好だ。 今季は15勝3敗で最多勝と勝率のタイトルを奪取してリーグ優勝に貢献。レギュラーシーズン全24試合、救援を含む2試合に登板したCSも全て組んだ「スガコバ」バッテリーでは2度目の受賞だ。小林から「自信を持って、智之らしくマウンドで表現してほしい」と背中を押された菅野は「2人で一つの賞はバッテリー賞しかない。本当にうれしい」と力を込める。名コンビでつかんだ勲章を胸に、新たな挑戦に挑む。(小野寺 大) ≪7年ぶり≫菅野(巨)のバッテリー賞受賞は14、17年に続き、7年ぶり3度目。投手で3度の受賞は西口文也(西=96~98年)、山本由伸(オ=21~23年)に次ぐ3人目で最多記録となり、セでは初。ちなみに捕手では古田敦也(ヤ)、阿部慎之助(巨)、伊東勤(西)の6度が最多。 ▽菅野のVS大谷 日本ハム時代の大谷との初対戦はともに新人だった13年7月20日の球宴第2戦。全セの先発で全パの1番に座った大谷と初回に対戦し、球宴初安打となる中堅への二塁打を浴びた。次の対戦は15年6月10日の交流戦。3度対戦し、2回に左中間二塁打、4回に四球、6回に右安打と全打席で出塁を許した。以降は対戦がなく、計3打数3安打、1四球で本塁打、打点はなかった。 ≪“スガコバ”の魂 小林よ「伝えて」≫菅野は「スガコバ魂」の継承を相棒の小林に託した。今季のベストピッチに8回から救援登板したCSファイナルステージ第6戦で、DeNA・梶原から空振り三振を奪った場面を挙げ「負けたけど配球も含めていい一球」と述懐。プレーだけでなく、言動でもチームを引っ張ってきた右腕は「僕もいろいろ後輩に言ったけど、(小林)誠司もしてくれていた。2人で築き上げたものを少しでも伝えてほしい」と期待した。