3億更改の筒香と届かなかった中田。2000万円の年俸格差はなぜ生まれたか
横浜DeNAの筒香嘉智(25)と日本ハムの中田翔(27)のセ、パを代表する2人の4番打者が1日、時を同じくして契約更改を行い、筒香が1億円から2億円アップとなる3億円、中田が2億4500万円から3500万円アップとなる2億8000万円プラス出来高でサインした。 松坂大輔、松井秀喜に並ぶ高卒7年で、年俸3億を突破した筒香は「考えられないほどの額」と満面の笑みで会見に臨んだが、一方、大台に届かなかったプロで2年先輩となる中田は「この世界はシビア」と苦笑い。中田は逆転される形となったが、この2000万円の差はどこから生まれたのだろうか? チームを日本一に導いた中田に3億の価値はなかったのだろうか? 年俸の査定方法は統一基準はなく球団によって様々だが、基本的には1試合、1打席、1安打、1本塁打と結果を残す度に加算していくポイント方式である。その項目の重要度や項目の数などは球団ごとにマチマチで、優勝すれば、ある係数をそのポイントに掛けるというチームもある。 今年の数字だけで言えば、表のように打点では両者は並んでいるが、本塁打、打率は筒香が上回っている。タイトルは、中田が打点、ベストナイン、ゴールデングラブに、CSのMVP、筒香は、本塁打、打点の2冠とベストナイン。セイバーメトリクスのデータを見てみると、打者評価であるNOI(【出塁率+長打率÷3】×1000)は筒香が656.31でリーグトップ。一方の中田のNOIは、451.22と大きく下回った。 チーム貢献度も数字から見てみる。 殊勲打(先制打、同点打、勝ち越し打、逆転打)を比べると、どちらも同じの32試合。殊勲本塁打は、筒香が17本で中田が12本。サヨナラ打も筒香の3本で中田の1本。得点圏打率も筒香が.393で、中田が.264と離される。ただ試合を決めた決勝打となると、中田18本で筒香の16本を2試合上回った。 さらにプロ野球の査定で重要視される“継続”“積み重ね”という部分を見てみる。 中田は、入団4年目の2011年に実質レギュラーをつかみ、打率.237、18本、91打点の成績で、そのオフに1800万円から4500万円となった。2012年も続けてレギュラーに定着、打率.239、24本、77打点でチームのリーグ制覇に貢献して年俸は8500万へ。翌2013年は、打率を3割に乗せて28本、73打点と、打点以外はキャリアハイをマーク、チームは最下位に沈んだが、1億5000万円の破格のアップを勝ち取り、表のように2014年オフに2億を突破、故障やスランプで規定打席に達しないようなシーズンを作ることなく、順調に結果を積み重ねてきた。総獲得年俸は7億8200万円である。 一方、筒香の総獲得年俸は2億1150万円。筒香がレギュラー扱いされたのは2012年。怪我で開幕に出遅れたが、5月から三塁のポジションを確保して、この年打率.218、10本、45打点と、翌年以降へのステップとなる数字を残して年俸は1950万円となったが、2013年は三塁のポジションを中村紀洋に奪われ、怪我や不調で2軍暮らしが続き、わずか1本3打点の成績に終わり350万円を減俸され、1600万円に。だが2014年には、バルディリスを獲得したため、中畑監督が筒香を外野にコンバート、守備の負担が軽減されてから表のように順調に成長、うち2年は大事な時期を故障で外れこともあり本塁打数が伸びなかったが、今季はフルに打席に立ち、2冠とチームも初のCS出場を勝ち取った。