参院選特番 池上彰氏は安倍首相にどこまで切り込めたのか?
2013年参院選、14年衆院選のテレビ東京系の選挙特番で、各党首らへの厳しい質問や突っ込みによって民放トップの視聴率をたたき出した池上彰氏。今回は選挙直前に発売された雑誌で安倍政権によるメディアへの圧力を批判したことから、「池上彰の選挙ライブ」(テレビ東京系)での安倍首相とのやり取りに一段と注目が集まった。だが、改憲問題について過去の発言との矛盾点を追及したものの、首相は自公で改選過半数確実の開票状況に笑顔で切り返し、視聴者の「期待」は肩透かしに。その一方、池上氏は野党党首や自民のタレント候補、公明の支持母体幹部らへの鋭いインタビューで面目を保った。 【動画】蓮舫氏、当選確実の報道に「ありがとうございました」
憲法改正の“争点隠し”などを追及
「首相は選挙期間中、憲法改正について語っていなかった。なぜか?」 「年頭の会見では改憲について参院選で問う、と言っていたのでは?」
池上氏は10日午後10時過ぎ、安倍首相へのインタビューの中でこうした質問を次々に浴びせた。首相はしかし、日焼けした顔をほころばせながら、「改憲は立党以来の悲願で、公約にも書いてありますし、草案も出している」「ただ、どの条文をどう変えるというのは決まっていない」などと答えた上で、「改憲について(国民に)問うのは、憲法審査会でどの条文をどうするかが煮詰まってからでないと」とかわした。 池上氏はさらに「以前は9条や、改憲要件緩和に関する96条をにまず手を付けるといっていたが、今回はなぜ言わなかったのか」と問うたものの、「現実の政治ではただ自分の要望を言っていてもしかたがない。まず3分の2を形成しないと意味がない」と返されただけで、両者の議論は深まらなかった。 池上氏は選挙前に緊急復刊された「朝日ジャーナル」誌上で、「安倍政権になってから自民党は主なニュース番組をすべて録画し、細かい部分まで抗議し訂正を求め注文をつけてくる」「第一次安倍政権の時にメディアへの抗議が増え、福田、麻生政権、民主党政権の時は大量に抗議が来ることはなかったのに、第二次安倍政権になって復活した」と指摘。選挙特番での直接対決に関心は集まったが、最後までやり取りはかみ合わなかった。