参院選特番 池上彰氏は安倍首相にどこまで切り込めたのか?
創価学会の池田大作氏に関する問いも
一方、池上氏ならではのタブーにとらわれない鋭いインタビューも多かった。 公明党の支持母体である創価学会本部を訪れた際のVTRでは、副会長である広報室長に「最近、池田大作名誉会長の肉声を聞くとか、登場したとかいう話がないけれど」と、誰もが関心を持つ問いをぶつけた。 「執筆活動をされたり、先日も各地を回られ会員を激励されました」との回答には、「それだけの体力おありなんですか」と驚いた上で、「(池田氏への)個人崇拝が進んでいるようですが」と突っ込んだ。 野党第一党の民進党・岡田代表への質問も尖っていた。「『(自らの地元である)三重の選挙区で敗れたら代表を辞任する』という発言は、国内全選挙区に責任を持つべき党首の立場としていかがなものか」「全体で負けても三重さえ勝てば代表を続ける、という意味にも受け取れる」と問い詰め、岡田代表のぶぜんとした表情を引き出した。
今井絵理子氏の米軍基地への認識にチクリ
池上氏の質問は自民党の女性議員にも容赦なかった。かつて舛添要一前東京都知事と結婚していた片山さつき氏(比例当選)への最後の問いはこうだった。 「舛添氏の公私混同疑惑が噴き出した際にメディアで厳しく批判していましたが、一度は(結婚相手として)選んだ人なのに、あんなに悪しざまに言ってどうだったんですか」。サブの女性キャスターは「冷や汗が出てしまいました」と言葉を詰まらせた。 選挙活動中のVTRで「神武天皇の建国からの歴史をすべて受け入れた憲法をつくりたい」と述べていた三原じゅん子氏(神奈川選挙区・当選)には「神武天皇を実在の人物とお考えなんですか?」「教科書でも神話の中の人物となっていますが?」などの問いを重ねた。 また元SPEEDメンバーで沖縄出身の今井絵理子氏(比例当選)に対しては、選挙期間中の街頭演説で米軍基地問題について触れなかったことを質問。今井氏が「(立候補後に)もっと足を運んで取り組まなければいけない問題だと分かった」と答えたのに対し、「米軍基地問題への認識を深めて自民党の政策も知った上で立候補したと思っていましたが、ちょっとびっくりしました」と口を「へ」の字に曲げていた。 (フリー記者・本間誠也)