Levi'sの謎ライン「RED」とは何か? コレクター集団が超解説
1999年の革命
次に「RED」の代表的なモデルについて聞いた。2009年に発足した「REDの会」のメンバーは30~50代まで世代に幅があり「RED」とのファーストコンタクトの年齢は異なるが、全員が口を揃える最高傑作は1999年~2000年の「Twisted RED」通称「1STコレクション」だ。
「最大の特徴は立体裁断で膝部分が内側に大きくねじれたシルエットです。これを見たときの衝撃は忘れられません。取材記事によればリーバイスは『1ST』のために3Dデザインを体制化し、コットンの代替品として注目されていたヘンプ混のデニム生地も開発したようです」
「1ST」はシルエットも素材感も一般的なデニムとまったく異なっていた。「501」に代表される5ポケットジーンズが突然変異したようなたたずまい。しかし脚を通すと包まれるようなリラックス感があり上質な履き心地だ。 なかでも特に象徴的なモデルがあるという。
「1STコレクションの一着『3RD SIGNATURE JEAN』です。これは『501』に『1ST STANDARD』のシルエットが白線で書かれ『501』のシルエットやポケット位置をどう変化させるか示した設計図のようなデザインになっています。さらに『1ST STANDARD』にも『501』のシルエットが書かれた『BLUE LINE』というモデルがあるのです。『RED』のコンセプトを体現していてたまらないですね」
ブランドのレガシーの大胆な再解釈、テクノロジーの活用、サステナブル素材、ハンドクラフト。現在のラグジュアリーの要素を1999年の時点ですでに備えている。「RED」はリーバイスが自ら生み出した「ジーンズ」という日常着をプレミアムなアイテムとして再発明するためのプロジェクトだったのである。
LUCAS(2004年) リペアを再現した前ポケット。SIGNATUREモデル(右)は手縫いが施されている