【同乗の小学生のみ死亡】 フェラーリ運転の医師を責めるだけ、では子どもの車外放出事故はなくならない!
2022年10月にフェラーリジャパンからブレーキ問題でリコールが出ていた!
フェラーリのブレーキといえば、もうひとつ気になることがある。事故が発生した直前の2022年6月13日に、フェラーリジャパンから制動装置(ブレーキ)に関しての不具合が公表され、リコールが行われている(リコール届出番号外-3480)。 日本市場で販売されてきた合計26型式 計24車種の合計7286台が対象で、この中には1193台のF8トリブート/F8スパイダー(型式7BA-F142CE)も含まれている。 不具合の原因として以下が記されている。 「制動装置において、マスターシリンダーのブレーキブースター側に装着されている油圧シール部からブレーキフルードがブレーキブースター内に漏れ、ブレーキの一次回路のブレーキフルードがなくなった場合、制動力は二次回路のみで作動する状態となることがある。その状態でブレーキリザーバータンクのキャップを強く締めすぎていると、ブレーキリザーバータンクの換気が減少してタンク内に負圧が発生し、ブレーキの二次回路のブレーキフルードがブレーキリザーバータンクに戻る可能性があり、最悪の場合、ブレーキが効かなくなるおそれがある」 こちらに関しても前述のレース関係者A氏は話す。 「このブレーキの不具合と今回の事故は関係ないと思っていただいて大丈夫です。リコール対象のフェラーリにも乗ってましたが、致命的なトラブルになるような内容ではありませんでした。実際、これが原因の事故も把握していません」 確かに、不具合件数は5件と国交省に届け出されているが、事故発生の有無に関しては「無し」と報告されている。なお、国交省に確認したところ、これらの数字はリコール届出時(令和4年10月13日時点)での数字でそれ以降については把握していないとのこと。
祖父母のクルマにわが子を乗せる時は要注意!
事故を扱った広島県警に女児の車外放出による死亡含めて、このような事故が今後起きないようにするにはどうしたらよいか? という質問をしてみた。 返ってきた答えは以下となる。 「2022年6月18日に福山市内で発生したこの事故に限らず、日常発生している悲惨な事故はたくさんありますが、歩行者を含めて道路を利用するすべての人が各種法令や交通ルールを順守するとともに、安全確認を徹底するなど交通事故防止に努める必要があります。 広島県警としては、あらためてすべての座席でのシートベルト着用と交通安全教育、悪質な交通違反の取り締まりを強化していきます」 高齢者は特に乗車中の子どもに対する危機意識が薄く、孫が嫌がれば点数稼ぎのためか? 「ベルトしなくていいよ」などと言ってしまう傾向がある。知人家族の話だが、祖父運転の軽自動車で自損事故を起こした際、後ろにはジュニアシートもシートベルトもしていない小学生(8歳)と幼稚園生(5歳)の孫二人が乗っていた。 30km/h程度でガードレールへの衝突だったが、孫二人はシートから転げ落ち前のシートの背もたれと窓ガラスで頭を強打するなどのけがを負った。命に別状はなかったものの、もう少し速い速度なら車外放出で死亡した可能性もあった。 夏休みに入り、実家へ帰省したり、祖父母にわが子を預けたりする機会も増えるだろう。祖父母運転のクルマにわが子を乗せる機会があるなら親自身がチャイルドシート(身長100~150cmまではハイバック型ジュニアシート)を用意してしっかり装着させて欲しい。 年間1万人以上の小学生が自動車乗車中にベルト(ジュニアシート)を正しく着用せず事故で死傷している。祖父母や子どものいない親類はチャイルドシートの重要性などほとんど理解していない。一般道路でも後部座席でも年齢を問わずシートベルト着用の義務があることも知らないケースが多い。 楽しい夏休みが悲劇の時間とならないよう、乗車中の子どもは確実に守ってあげて欲しい。
加藤久美子(執筆) 加藤博人(撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)