【同乗の小学生のみ死亡】 フェラーリ運転の医師を責めるだけ、では子どもの車外放出事故はなくならない!
フェラーリ特有のブレーキ問題とは
この事故に関してはテレビ、新聞、雑誌、ウェブメディアなど数多くのメディアが報道した。筆者もこれまで5本の記事を書いているが、どのメディアも触れてこなかった問題がある。 それは特有のブレーキ問題である。取材を続ける中でレース関係者A氏よりフェラーリ特有のブレーキについての話を伺った。 この事象が今回の事故とどう関係しているかは不明であるが、30代医師はF8トリブートを事故が起きる直前となる2022年5月に購入している。スピードを出して走ることを好んでおり、これまで速度違反で検挙されたこともあるというが、F8トリブートの扱いに不慣れであった可能性も否定できない。 「フェラーリのブレーキはカーボンセラミック製で、冷えている状態では全然効きません。当然、市街地を走っている程度でブレーキは温まりません。さらに言えば、このフェラーリF8が出荷時に履いているCUP2というタイヤは、雨の日に走れないほどの極端なサーキット指向タイヤで、こちらもグリップしません。 以前、CUP2を履いたスポーツカーとエコタイヤを履いたプリウスの制動距離テストを実施したことがありますが、冷間時では前者のほうが1.5倍近い制動距離となりました。カーボンセラミックブレーキもCUP2も、本当に冷えてると効きません……。 ですので、この一件は一般的なブレーキ試算では結論が出せない内容だと思っており、空走距離を加味してブレーキを掛け始めたのが30m程度手前だったとして、ほとんど速度は落ちていないでしょう。破損状況から見て、100km/hを切れていたかも怪しいと思います。 事故で大破したF8トリブートの写真を見ましたが、一見したところ、60~70km/hの破損状態ではありません。 また、一般道路で120km/hは確かに異常な速度といえるでしょう。医師を擁護する気は全くありませんが、F8トリブートだと、トヨタ・ヴィッツで30km/hまで加速した感覚で120km/h出ています。購入して間もないということで、スピード感がよく分かってなかった可能性もあります。」