人気再燃中のNew Balance(ニューバランス)「610」が今なぜ注目されているのか?
「ニューバランス」らしいアプローチの巧みさが人気の秘訣
現在、街のスニーカー状況を観察していると、トレイルランニング系のリリースする『サロモン』が隆盛を極めている。「610」がなぜ今人気なのかという現象に対して国井さんはこう説明づける。
「もちろん、数々のブランドとのコラボモデルの影響や“ゴープコア”という潮流もあるとは思いますが、『610』はただそこに乗っかった、オリジナルの二番煎じというわけではありません。『610』という品番を大事にしているからこそ『ニューバランス』のマーケティングの巧みさが際立ってくるのです。
ここ最近の『ニューバランス』を見ていると、『610』みたいに定番化させたいモデルがあるとして、先ほども説明したようにただ単純にカラバリを展開するだけでなく、モデルバリエーションも、アッパーの製法も手を加えているのです。現在、若年層にも人気が定着した『2002』のアプローチの仕方に似ていますね。 アーカイブの人気に胡坐をかいた色替え素材替えで販売していく商品群が多いなかで、『ニューバランス』は時代に鑑み現代的なアップデートを施すというところから、このシチュエーションで履いてほしいという意図が、デザインはもちろん素材使いやカラーリングからも明確に受け取れるのです。
あとはコロナ禍以降、着心地や履き心地などが快適なものに流れる傾向がありました。『610』はバリエーションが豊富なので、多様性が増してきたスタイルにもどこかでハマるモデルが用意されているし、汎用性も優れているのは強いですよね」 時代の流れを読みつつも、ひとつひとつの品番を大事にしているからこそ生まれる「ニューバランス」ならではのマーケティングの仕方なのだ。
「610」はそのバリエーションの豊富さで新定番として定着
実際に履いた国井さんにも“ファッション性と実用性をうまく兼ね備えている”と評する「610」だが、今後の展開はどうなっていくのだろうか。そこに関しても、国井さんはこう説明する。
「『610』に関してはこれからも継続して、さまざまな手法を凝らした商品がリリースされていくと思います。2011年に登場してから時間もたっているし、スリッポンなどバリエーションも出てきたので、どんどんユーザーの裾野も広くなっていくと思います。