【試乗レポート】年間販売わずか70台、ホンダが新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」に期待すること
ホンダの新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」の報道陣向け公道試乗会に参加した。北海道のテストコースでも試乗したことがあるが、一般道や高速道路で改めて運動性能を確認してきた。このモデルは国内での年間販売台数がわずか70台、しかもその半分ほどは新車販売店の試乗車向けという。EVが普及し始めているなか、一般にはほとんど流通しないFCEVに、ホンダは何を期待する? 【写真】車両に搭載されている水素タンク (桃田 健史:自動車ジャーナリスト) 「CR-V e:FCEV」は、ホンダが米ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発した新型燃料電池を、グローバルで人気の高いCセグメントSUV「CR-V」に搭載したモデルだ。日本では、ベース車となるCR-Vの最新モデルが未導入であるため、e:FCEVが日本初導入のCR-Vとなる。 まず、CR-V e:FCEVを試乗してきた感想から始めよう。 筆者は9月末に、北海道・旭川郊外にある同社の四輪事業本部ものづくりセンター鷹栖(たかす)ブルーミンググランドですでにCR-V e:FCEVを試乗している。ただし、その際の走行環境は、バンク角度が大きなコーナーがある高速周回路だった。そこで時速160kmで走行した。また、自動車メーカー各社が新車の走行性能評価を行うドイツのニュルブルクリンク周辺道路を再現したワインディング路もあり、そこでもハイペースで走った。 こうした高速走行は、そのモデルが持つ基本性能や、開発者が目指した走行性能を浮き彫りにする。万が一の場合における、クルマの危険回避能力も実感できる。 一方、今回の公道試乗では、法定速度での走行を遵守した上で、日常生活の中での使い勝手を想定して走った。 今回の試乗感想は北海道での試乗と同じく、重量2トン超えのクルマなのに「重ったるさがなく、スッキリしたイメージで乗れる」というものだった。 まず、ハンドリングについては、ハンドルの中立(オンセンター)でのフィーリングが緩やかに感じた。北海道では、高速で大きくハンドルを切る操作が多かったため、こうした印象を十分に実感できていなかった。