「ゴマはすらない」…与党に屈せず中学給食無償化実現 維新系市長の「ガチンコ闘争宣言」
ところが、修正案には無償化を見込んで2学期以降の給食費の物価高騰分の公費負担と、経済的に苦しい準要保護世帯への全額援助に必要な予算2千万円が計上されていなかった。修正案が可決されれば保護者負担が増える恐れがあることが提案後に判明し、2会派は修正案を撤回。無償化事業を削除する一方、公費負担や援助を継続するため、ふるさと納税の寄付金を財源にして2千万円を充てる再修正案を提案。他会派の議員からは「不安定財源だからだめだと言っていた、ふるさと納税の寄付金を(財源に)もってくるのはいかがなものか」「無責任だ」といった声があがったものの、可決された。
こうした議会の動きに市民らが反発。ネットで無償化実現を求める署名運動が展開される中、鴨田氏は審議をやり直す「再議」を申し立てた。採決は賛成13、反対11と拮抗(きっこう)。再議に付された議案の可決には議長を含めた出席議員の3分の2以上の賛成が必要なため、「いけると思った」(鴨田氏)。再修正案は否決、無償化事業を盛り込んだ原案が可決された。
■推薦の維新は「ちょっとふがいない」
とはいえ今後も議会との衝突が続く可能性はある。鴨田氏は「(議会を)いたずらに見下したり、仮想敵にしたりすることはない。丁寧に説明するなど、今まで通りやるだけで特別なことはしない」と強調する。
一方で、給食無償化を巡るやりとりなどを通し「議会はおかしい。市長のために市議選に出たい、市議になって建設的な議論がしたいという人も現れた」と明かす。その上で「今後、地域政党を立ち上げるかは別として、勉強会を開いたり、塾長みたいなものになってみたりすることは選択肢の一つだ」と展望を語る。
次の市議選を見据えた発言とみられるが、所属する維新は支持率が伸び悩み、勢いに限りが見え始めている。「目新しい政策もないし、ちょっとふがいなさを感じる。〝風〟で当選した地方議員が多いからか、不祥事も多い」と鴨田氏。「首長なので党利党略では動かないが、維新に勢いがあれば『市長の言うことは聞いていた方がいい』となるかもしれない」と、党勢拡大への期待ものぞかせた。(橋本亮)
◇鴨田秋津氏 昭和56年、京都府舞鶴市生まれ。拓殖大卒業後、警視庁に入庁。交番で約2年半勤務し、次の異動で暴力団担当刑事にと内示を受けていたが、建設会社を営む父親の頼みもあり舞鶴に戻った。平成30年の舞鶴市議選で初当選。日本維新の会京都府総支部の単独推薦を受けて立候補した令和5年2月の舞鶴市長選で初当選を果たした。小学5年から始めた柔道は5段の腕前。