スペシャルなトライアンフとスペシャルな仲間たち|『Octane』UKスタッフの愛車日記
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。UK版編集長ジェームズの愛車、1965年トライアンフ2000/2.5PIを待ちに待ったレストアに。 【画像】気になっていたトライアンフのボディのレストアに、ついに着手!(写真5点) ーーーーー アンディとその仲間たちはハンフリーのために「ビッグ・レッド」というMk2 2.5PIを組み上げた。しかしその車がウェールズの農家との“チキンレース”に負けてしまったので、納屋で見つけた1965年製のMk1 2000オートマシェルにすべてのパーツを移植。ブラックルーフにカクタスグリーンのボディ、TR5のファストロードカム、警察仕様のオーバードライブギアボックス、ミニサイズのモトリタステアリング、そして騒々しさはピカイチのクリス・ウィター製スポーツエグゾースト...1990年代初頭において、これほどハイスペックな2000/2.5PIは他に無かっただろう。しかしその後彼らは車を保管したままオーストラリアへと旅立ってしまった。 私は1997年頃にこの車を保管場所から引っ張り出し、それ以来ずっと乗り続けている。この車を手放すことはどうしてもできなかった。 この車に最大の賛辞をくれたのはサイモン・テイラーだ(彼は爆音の「ストーブボルト・スペシャル」に乗っていることで有名だ)。 彼は「この車が近づくたびに、あのコーナーからDタイプが現れるかと思うよ」と言ってくれたのだ。 アンディとハンフリーには感謝するばかりで、彼らは本当に素晴らしい車を作り上げてくれた。私は機械的な部分の整備はしっかりしてきたが、ボディワークに関しては2000年代初頭にフロアパンとサイドシルを少し手入れしただけだった。その結果、最近ではトライアンフをどこかに持ち込むのが恥ずかしく感じるほど、ボディの状態が目立つようになっていた。 ここで登場するのが、1990年代から知っているクラブの古株、ティム・バンクロフトだ。彼から彼のサルーンの写真が送られてきたのだが、それが非常にリーズナブルな価格で見事に仕上がっていたので、私はすぐにその仕事をした職人に連絡を取った。ジェームズ・ゴッドフリー=ダンという、これまたクラブの古株だったのだが、彼のウェイティングリストに名前を載せてもらうこととなった。ジェームズはデイブ・ピアソンが運営する工房兼ミュージアム「カンレイ・クラシックス」の小規模ユニットで作業を行っており、一度に取り組めるレストレーションプロジェクトは一台だけだ。だからこそ、待つ必要はあるが、一度仕事が始まれば最後までやり遂げざるを得ない。最近、別の愛車で嫌な思いをしていた自分にとって、これは非常に重要なポイントだった。彼こそが頼るべき人物だと思った。 ついに連絡があり、5月中旬に車を彼のもとに持ち込んだ。私の要望は「しっかりとした、見栄えの良い仕上がり」だが、これは完全なレストレーションであり、ジェームズがそれ以上の結果を出してくれると確信している。すでに、来春には他のトライアンフ仲間やクラシックカーのジャーナリスト、マット・ジョージとグレッグ・マクレマンと一緒にスパへ旅行する計画も立っている。 もちろん、ジェームズがさらに深く調査するうちに、新たな問題も発覚してきている。たとえば、新しいサイドシルが古いものの上に単に溶接されていたことが分かり、彼が最初から疑っていたドアの隙間の原因が判明した。しかし、ここまでのところ全体的には順調だ。いや、それどころか想像以上だ。長年、気が滅入るようなレストレーション経験をしてきたが、最近になって少しずつ楽しむ気持ちが戻ってきている。トライアンフの仲間たちは本当に最高だ。 文:James Elliott
Octane Japan 編集部