日経平均4万円を「バブル」と騒ぐのは論外…「新NISAデビュー」の投資初心者がいま絶対にやってはいけないこと
■日経平均4万円超は「バブルの再来」なのか 【澤円】2024年3月に、史上はじめて日経平均株価が4万円を超えました。この株式市場の盛り上がりを受けて投資に関心を持ったという人も多いわけですが、森永さんの目には、現在の株高傾向はどのように映っていますか? 【森永康平】日経平均が4万円を超えたタイミングで意見として多かったのは、「これはバブルだ」というものでした。でも、わたしはそう思いません。なぜなら、「バブルだ」といっている人たちは、数字の話しかしていないからです。バブル最盛期の1989年12月に記録した、それまでの日経平均史上最高値は4万円弱でした。そのバブルの水準を超えたから「再びバブルだ」といっているわけです。 でも、それは数字の見方を完全に誤っています。例えば、体重80kgの人が太っているかどうかは、80kgというその数字だけを見てもわかりませんよね? 身長150cmで80kgだというなら「ちょっと痩せたほうがいいんじゃない?」となりますが、身長が2mで同じ80kgならむしろもう少し太らなければならないくらいです。 【澤円】同じ数字であっても、他の要素が異なればまるで意味合いが異なる。 ■「バブル」と騒ぐのは論外 【森永康平】まさしくその通りです。現在の株高傾向について「バブルだ」といっている人は、80kgという数字だけを見て「太っている」と騒いでいるようなものなのです。1989年の日本企業と、いまの日本企業では稼いでいる額も稼ぐ力も、そもそも稼ぐフィールドもグローバル化によってまったく変わっているではありませんか。 ですから、日経平均が4万円を超えたからと「バブルだ」と騒ぐのは論外ですし、これから日本がデフレ経済を脱却することができれば、今後は日経平均が4万円以上に上がっていくというシナリオも十分にあり得ると考えます。
■日本人が投資に「トラウマ」を持つ理由 【澤円】投資に注目が集まっているとはいえ、日本人の資産形成の手法というと、一般的には「貯蓄」がまだまだ圧倒的に多いですよね。一方、バブル期には投資熱が高まった時期もありました。それでも日本では投資が根づかなかった原因はどこにあったのでしょう? 【森永康平】バブル期には、ちょうどわたしの親くらいの世代の人たちが投資にハマり、そして大損を被る経験をした人も多くいました。そうして「投資は危ない」と思ったからこそ、自分の子どもたちの世代に対して「株式投資なんてやってはいけない」と刷り込んだわけです。それこそが、日本に投資が根づかなかった最大の理由でしょう。 でも、直近10年くらいは、上下しながらもならしてみれば日経平均は右肩上がりになっていますから、おそらくこの10年くらいのあいだに投資をはじめた人たちは、過度に「投資は危ない」といった意識は持っていないはずです。「投資はギャンブル」といった見方もようやく薄れてきたところに、「新NISA」スタートという追い風も吹きました。このままたくさんの日本人が投資をきちんと学ぶことができれば、世界水準の投資に対する認識を持つことができるのではないでしょうか。 ■初心者はまずは積立投資から 【澤円】ようやく投資人口が増えてきたということは、多くの人は投資をはじめたばかりの初心者です。そういう人におすすめの投資法を挙げるとするなら? 【森永康平】投資にもいろいろなやり方がありますが、最大公約数的に多くの人に最適な方法でいうと、やはり積立投資になります。基本的には投資信託になると思いますが、毎月同じ金融商品を同じ金額だけコツコツと購入し続ける方法です。それを長期的に続けていけば、いわゆる複利効果によって資産を大きく増やせる可能性が高いからです。 この積立投資をすすめるのは、手間がかからないから。どのような人にとっても、1日は24時間しかありません。投資自体が仕事のプロ投資家ならともかく、一般の個人投資家にとっては、限られた時間のなかで投資に割ける時間はそれほどないでしょう。そのため、一度設定さえしてしまえば自動的に投資を続けてくれる積立投資がマッチしているはずです。