長瀞と皆野の2大「里山アルプス」が聳える! 意外な急登とクモの巣と格闘する前原尾根を行く
関東首都圏で人気の山域といえば奥多摩、丹沢、そして埼玉の秩父山塊。奥多摩には1000m級から最高峰の雲取山2000mまでの高山が揃っています。また神奈川の一大山塊である丹沢には日本百名山の丹沢山を中心に東西に巨大な2ブロックを敷いています。一方の秩父はいずれも一癖も二癖もある名低山ゾーンといえます。秩父のコアブロックの長瀞ゾーンには、長瀞と皆野の2大里山アルプスが控えています。 【写真】プチハードな皆野アルプス登山の魅力をチェックする(全17枚)
秩父の観光名所「長瀞」の先約5.5kmの低山アルプス
皆野アルプスは秩父盆地の北側にある破風山(はっぷさん・標高626m)を主峰とする関東ふれあいの道(関東一都六県を一周する長距離自然歩道)を、秩父鉄道・皆野駅側から伸びる前原尾根コースと西側にある如金峰(にょっきんほう)コースとで挟んだ、東西約5.5kmのご当地アルプスの登山道です。 もちろん、破風山の単座でもこの皆野アルプスルート以外にも南北から3~4本のコースが選べるという人気の山でもあります。 公共交通機関を利用する場合は秩父鉄道の皆野駅から歩いて大渕登山口、もしくはバスで風戸(ふっと)か秩父三十四番札所で知られる水潜寺、ないしは上沢辺からの登頂となります。 またクルマ利用なら大渕登山口近くと、風戸登山口近くの秩父温泉前町営駐車場、そしてルート上では最奥部になる秩父華厳の滝近くの駐車場の3カ所と、マイカー派にも利便性が高いことも人気の理由かと思います。ここでは破風山を目指す皆野アルプスルートの前衛峰・前原尾根をまずは取り上げます。
大渕登山口手前にある国指定天然記念物に寄り道見学
皆野駅を降り立って、駅右手の脇道を回り込んで踏切を渡ります。ロードサイドに商店が並ぶ県道43号を西に進み荒川に架かる皆野橋を渡り県道44号を北上。皆野橋からは隣の宝登山や破風山が見えます。程なく右手に広い破風山登山口駐車場があります。砂利敷きの30台前後駐車可能なスペースがあります。 この駐車場から5分ほど歩いた先の大渕集落に大渕登山口がありますが、その途中に皆野の名所でもある「前原の不整合」があります。駐車場からは20mほどでしょうか。荒川に合流する赤平川手前の河原に降り立ったところにある崖が、それです。 「前原の不整合」は上下の2つの地層で形成されています。下部の黒っぽい岩が頁岩の層で約2億年から1億5000年前の中生代ジュラ紀のもので、上部に約1700万年前の新生代第三紀の礫岩や砂岩で構成された層が重なっている、大きな時間差のある地層を不整合と呼ぶそうです。国の天然記念物でもあります。寄り道しても十数分程度なので一度は見学しておいてもいいかもしれません。