岩屋外相がゼレンスキー氏と会談、露朝協力に「深刻な懸念」共有…安保分野で連携強化
【キーウ=栗山紘尚】岩屋外相は16日、ウクライナの首都キーウを訪問し、同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。北朝鮮がロシアに派兵するなど、露朝が軍事協力を進展させていることに「深刻な懸念」を共有した。安全保障分野での連携を強化することでも一致した。
石破内閣の閣僚がウクライナを訪問するのは初めて。石破内閣でも引き続きウクライナ支援に力を入れる姿勢を示す狙いがある。
岩屋氏は会談で、「欧州とインド太平洋の安全保障は密接不可分で、北朝鮮によるロシアへの兵士派遣はこれをよく示している。深刻に憂慮すべき事態だ」と指摘した上で、「日本がウクライナと共にあるとの姿勢は変わらない」と強調した。両国政府が同日、安全保障に関する機密情報の交換を可能とする「情報保護協定」に署名したことを踏まえ、情報共有を進める方針を確認した。ゼレンスキー氏は会談で、戦況や北朝鮮兵の状況について説明した。
会談後、岩屋氏は記者団に対し、ウクライナ支援に消極的なトランプ次期米大統領への政権移行を巡っても「率直な意見交換をした」と述べた。
岩屋氏はこの日、アンドリー・シビハ外相とも会談し、外務・防衛当局者による「ハイレベル安全保障政策対話」の創設で合意した。越冬支援策として発電機やガスタービンを供与することも伝えた。岩屋氏はシビハ氏との共同記者発表で、12月にウクライナのユリヤ・スビリデンコ第1副首相兼経済相が来日することを明らかにした。
岩屋氏は、南米ペルーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議に出席後、ポーランドを経由して、陸路でウクライナに入国した。会談に先立ち、民間人虐殺があったキーウ近郊のブチャなどを視察した。