躍進を遂げる那須川龍心、ターニングポイントは昨年大晦日RIZINでのMMA挑戦 自らと向き合い成長と進化
9月8日(日)神奈川・横浜BUNTAIにて開催される「RUF presents RISE WORLD SERIES 2024 YOKOHAMA」。今大会では那須川龍心が昨年大晦日にMMAルールで対戦したシン・ジョンミンとRISEルール(立ち技)で拳を交える。 【映像】那須川龍心の魅力に迫った独占映像 那須川龍心の躍進が目覚ましい。2023年2月のRISE NEW WARRIORS フライ級トーナメントこそ初戦で塚本望夢に敗れたものの、その後は破竹の5連勝。そのなかにはMMA初挑戦となったジョンミン戦、6月のRISE大阪大会での塚本へのリベンジも含まれ、数字以上に成長と進化を遂げている。 特に今年に入ってからの松本天志戦、塚本とのリマッチでは、スピードとテクニックを駆使するファイトスタイルがより確立された。その転機になったのが大晦日「RIZIN.45」のジョンミン戦だ。龍心にとっては初の大晦日、そしてMMA初挑戦というシチュエーションだったが、この一大チャレンジが思わぬプラス効果を生んだ。 「大晦日のジョンミン戦から、試合中に周りの状況が理解できるようになって、冷静に物事を見られるようになったんです。そこから変わった気がします。(MMA初挑戦でも冷静だった?)そうですね。あの時はなんかすごく冷静だったんですよ。度胸がついたんですかね。あの試合でメンタルが安定して、練習でやってきたことややりたいことを試合で出せるようになりました。やっぱり格闘技は最後はメンタル勝負で度胸を出せるかどうかだと思うし、そこが変わった気がします。それこそ塚本戦の試合直前に(那須川)天心が控室に来て『こういうところを狙った方がいい』とアドバイスをくれたんですね。本当に試合直前だったんですけど、それを試合で出すことが出来て、試合中の対応力もついたと思います」 今回のジョンミン戦に向けては毎年恒例になっている那須でのTEPPEN GYM合宿に加え、TEPPEN GYM大阪が主宰する淡路島合宿にも参加。ジムでのスパーリングの本数は減ったものの「合宿が終わって久々にスパーリングをやったら、予想以上に動けていて、調子は上がってきていると思います」と合宿の成果を感じている。 龍心は塚本戦の勝利を受けて、数島大陸が持つRISEフライ級王座への挑戦が決定。ジョンミン戦はタイトルマッチを控えるなかでの前哨戦という位置づけの試合だ。しかもMMAルールながら一度は勝利しているジョンミンが相手ということで、どうモチベーションが保つかが難しいシチュエーションでもある。 その中で龍心は「今回の試合は技術云々じゃなくてメンタル」と自ら課題を設け「正直この相手でモチベーションが上がるのかなと思っていたのですが、いざ試合が決まると(モチベーションが)下がることはなくて、前回の塚本戦と同じモチベーションで仕上げられている」とモチベーションは高い。 その理由は「松本戦の前から(練習で)やっていることがあって、それをいかに試合で出せるか。そこのモチベーションが大きいですね。『どこまで自分を出せるんだろう?』や『試合になったら自分がどう思うんだろう?』と思っているので、それを試合で感じたいです」とモチベーションのベクトルを対戦相手ではなく自分に向けているからだ。 そのうえで龍心がジョンミン戦、そしてもうワンランク上の選手になるために己に課すハードルが“倒して勝つ”こと。「最近の試合で自分の勝ちパターンは見えてきたのですが、それだけではKO出来ない。まだ自分の中で倒したいという欲はあるので、そのコツを掴みたいと思います。今回の試合は倒さないとだめだと思うので、3Rを通して倒しに行く。しっかりKOで勝って、次に期待してもらえるものを見せたい」と結果だけでなく、試合内容にもこだわっている。 また龍心は恋愛番組「今日、好きになりました。夏休み編2024」(通称「今日好き」)に「りゅうじん」として参加。龍心は格闘技以外のメディアに露出して注目されることにも喜びを感じている。 「僕を知らなかった人が「今日好き」を見て、格闘家としての僕のことを好きになってくれたり、格闘技しか見ていなかった人が「今日好き」の僕が出てるところを見てくれるようになったり。格闘技のことを知らずに僕の試合を見てくれる人も増えると思います。だからこそ格闘技を知らない人が見ても面白いと思ってもらえる試合、いい勝ち方をして、自分やRISEのことを広めていかないといけないなと思っています。(プレッシャーになることはない?)いや、楽しいですよ。今すごく楽しいです。自分のことを知ってもらえることの喜びも感じるし、ここでいい勝ち方をすれば一気にバーッと上がると思うので、そういう姿を見せたいです」 チャンピオンとしてベルトを巻ける選手が限られているように、格闘技を世間に届けることが出来るのも限られた人間だけだ。那須川龍心はその2つを担う可能性を持った選手として、そして周囲の期待も背負ってリングに立つ。 文/中村拓己
ABEMA TIMES編集部