スタートアップは「マイルドなカルト集団」なのか「チャーチ・セクト論」で分析した“驚きの結論”
「宗教」と「優れた企業経営」には実は共通点があり、「現代の強い企業」は、いい意味で「宗教化」していく。 それらの主題をもとに、世界の宗教事情に精通したジャーナリストの池上彰氏と、『両利きの経営』の解説者で早稲田大学教授の入山章栄氏が語り合った『宗教を学べば経営がわかる』が発売された。 【話題の書籍】チーム・組織を強くしたい「すべての現場リーダー」に20年読み継がれてきた必読書 同書を再編集しながら、「宗教」と「企業経営」の共通点に触れつつ、「スタートアップは“マイルドなカルト集団”なのか」について入山氏が解説する。
*この記事の続き:「なぜ企業は大胆変革できない?」経営学者の視点 ■世界の経済は「ベンチャー企業が牽引役」 いま世界では、間違いなくベンチャー企業が経済の牽引役になっている。 2024年6月時点でのアメリカの時価総額ランキングを見ると、上位10社のうち実に8社が創業50年以内の若い企業である。 Googleは1998年設立なので創業して4半世紀程度だし、TeslaやFacebook(現Meta)は創業20年程度だ。
したがって世界の経営学では、「ベンチャーの進化・成長のプロセスを解き明かす研究」が多く蓄積されてきた。 そして、新刊『宗教を学べば経営がわかる』でジャーナリストの池上彰さんとの対談を通じて発見したことは、そういったベンチャー企業の成長理論を応用することが、一般に「カルト」「セクト」と呼ばれる新興の宗教団体の進化プロセスの理解にもつながる、ということだ。 みなさんの中には「カルト」という言葉に、抵抗を覚える方もいるだろう。
しかし、たとえば米決済サービスのベンチャーであるPayPalを立ち上げた、世界的な起業家・投資家であるピーター・ティールは、次のように述べている。 ■最高のスタートアップは究極より少しマイルドなカルト 究極の組織のメンバーは、同じ組織のメンバーとしかつるまない。彼らは家族を無視し、外の世界を遮断する。だけど、それと引き換えに強い仲間意識で結ばれ、普通の人が否定するような神秘的な「真実」に到達する。そんな組織はこう呼ばれる──