新型コロナとともに生きる「新しい生活様式」専門家会議の提言とは
●流行状況に応じ対策の強度を変える
さまざまな活動自粛など新型コロナウイルスに対する取り組みは、長期間を見据えたものになると専門家会議は強調する。さらに提言では、今後も「一定期間はこの新たなウイルスとともに社会で生きていかなければならないことが見込まれる」と訴え、それを前提とした「新しい生活様式」というものを考え、移行して行く必要があると記している。 一方で、感染の広がりは地域によって異なる様相を呈している。東京都や大阪府、北海道のように今も毎日数十人から百人規模の新規感染者が報告される地域もあれば、岩手県のようにこれまで全く感染報告のない地域にあり、感染報告がゼロから数人にとどまる地域も増えてきた。 そうした現状を踏まえ、専門家会議は地域の流行状況に応じて取り組みの強度を変えていくことを提案し、具体的に(1)「感染の状況が厳しい地域」(2)「新規感染者数が限定的となった地域」の2つの地域に分けて今後の対応を考えるべきとした。 想定される取り組みの内容は、(1)の地域では、新規感染者数が一定水準まで低減するまで「徹底した行動変容の要請」が引き続き必要だとし、(2)の地域でも、対策の強度は一定程度緩められるようになったとはいえ、感染が再び拡大する可能性があるため、長期的な取り組みに備え、感染拡大を予防する「新しい生活様式」への移行が求められるとしている。 全ての地域の新規感染者数が限定的な状態に減るまでは、こうした2つの地域が混在していくことを見込んでいる。
(1)感染の状況が厳しい地域の対策
2つの地域では、今後どのような生活になるのか。(1)の感染の状況が厳しい地域では、引き続き外出自粛などの「徹底した行動変容」が求められることになる。尾身氏は、そうした対策の長期化に伴う「市民生活への多大なる悪影響や、いわゆる自粛疲れ」を懸念する。しかし感染拡大を収束には、市民の協力が持続可能であることが不可欠だとして、制限を徐々に一部緩和していくことも検討すべきとした。具体的には、社会的に必要性が高く、工夫によって感染リスクを十分に下げられる活動を想定し、一例として「学校や公園など」を挙げた。 徹底した行動変容を維持すべきか、緩和するかの判断基準についても概要を示した。大きく2つあり、▽新規感染者数、倍加時間、感染経路不明の感染者数の割合などの「感染状況」(疫学的状況)▽医療機関の役割分担の明確化や患者受け入れ先の調整機能の確立、病床の稼働状況などの「医療提供体制」の状況を中心に、総合的に判断するとした。感染状況の項目には「必要なPCR検査などが迅速に実施できること」も含まれている。