新型コロナとともに生きる「新しい生活様式」専門家会議の提言とは
●実効再生産数「1」を下回る
「実効再生産数」という言葉がある。1人の感染者が生み出した2次感染者数の平均値を示すもので、この数字が「1」を下回れば流行は減少に転じるといわれている。 全国におけるこの実行再生産数をみると、3月25日は 2.0人だったが、新規感染者数が減少傾向に転じたことにより、4月10日には0.7人に下がった。東京都は全国よりも下がり幅が大きく、3月14日の2.6人から4月10日には0.5人まで減っている。
厚生労働省のクラスター対策班メンバーで北海道大学の西浦博教授は、全国の実効再生産数が1を下回ったのは「4月1日頃」で、東京もおそらくその前後だと述べた。 「実を言うとこれは(政府の)緊急事態宣言前で、東京の(小池百合子)都知事による外出自粛要請も含めてさまざまな要因が影響しているものと考えている」 7日に出された緊急事態宣言の効果については、4月10日、11日ぐらいまでの推定値しか確認できていないため「まだ数日以上観察しないと分からない。そのときの減少度合いが本当に期待していたものか否かは今後も引き続き分析をした上で報告する予定」だとした。 実効再生産数は、西浦氏が掲げる人と人の接触「8割削減」目標の算定根拠の一つとなる重要な数字だ。西浦氏はこの数字を「2.5」で想定しているが、これはドイツの再生産数に相当する。 「8割削減で何を期待していたかというと、実効再生産数が1を割ることだけではない。1とは、新しい感染者でいうと、変わらずに同じ感染者数が認められるレベルなので、1を割るだけでは感染者数を十分に減らすには足らない」 感染者数の増加ペースに比べて減少ペースが想定より緩やかになっている要因については「短期間に減らすには(実効再生産数)2.5のときの8割という話をしたとき、2.5に1引く0.8を掛けてもらうと0.5になる。だいたい東京が今、比較的スムーズに減少し始めている」と説明。 東京の推移については「次週に入って以降も定期的にアップデートを続けていって、0.5と言っているような水準をしっかり維持できる、下回るということを確認していくことが必要」だとした。