「糖尿病」と上手に付き合うポイント・自己管理のコツを医師が解説!
血糖値コントロールとは、具体的にどうするのか?
編集部: 血糖値コントロールは、具体的に何をすればいいのですか? 藤本先生: 食事療法が基本となります。1日3食、各食事バランスよく、適正カロリーを摂ることが大切です。ただし、同じ身長・体重でも事務仕事をする人と建設現場で働く人とでは適正なカロリーが異なるので、そのあたりは注意が必要です。 編集部: ほかには? 藤本先生: 糖質の摂り方もポイントになります。甘い飲み物は血糖値を急上昇させるので、糖尿病を発症している人は控えてください。特に、スポーツドリンクやエナジードリンクにも吸収されやすい糖質が入っていることが多く、注意が必要です。また、「糖質オフ」「糖質控えめ」といった表記は、あくまでもほかの商品との比較で糖質が少ないとは限らないため、注意して選びましょう。 編集部: 糖質についてはどう考えればいいのですか? 藤本先生: 糖質制限をおこなうと血糖値は下がりますが、極端な糖質制限は危険です。糖質は体を動かすエネルギー源であり、筋肉を合成するためにも必要な栄養素です。野菜やタンパク質を先に摂り、糖質はなるべく食事の後の方に摂るように心がけると、糖質の吸収が遅くなり、血糖値の上昇を穏やかにすることができます。また、また、白米やうどんなどの精製された白い主食から、雑穀米やもち麦、玄米等の食物繊維が多く含まれる主食に変えると、より効果的です。それから、ゆっくりよく噛んで食べてください。 編集部: 色々と注意点がありますね。 藤本先生: どうしても甘い物を食べたいときは、間食より食後のデザートにすると血糖への影響を小さくできます。食べるときはお菓子より果物にすると、ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富に含まれています。1日分の果物の目安としては、片手に軽く載せられる程度、バナナなら1本、リンゴなら半分です。果物も摂りすぎはやはり血糖値を上げるので、その点は気をつけましょう。 編集部: 食事以外で気をつけるべきことはありますか? 藤本先生: 運動療法も重要です。ウォーキング、水泳、ストレッチ、ヨガなどの有酸素運動は、直接血糖値を下げる効果があるので、食後におこなうとより効果的です。特に食べ過ぎてしまった後や、甘い物を摂った後にはちょっとした運動を心がけましょう。インスリンの働きやすい体づくりには、筋トレのようなレジスタンス運動が向いています。 編集部: 運動も大事なのですね。 藤本先生: その中で最も重要なのは、「生活活動強度」を上げることです。「座っている時間が長いと、寿命が短くなる」という研究結果があるので、なるべく立ってこまめに動くようにしましょう。特別な運動をしなくても、「車ではなく公共交通機関で移動する」「エスカレーターではなく階段を選ぶ」「少し遠回りをする」といった習慣をつけると活動量が増え、血糖値も下がりやすくなります。