【専門医が教える腸活】サラダより日本食と地中海食がいい。日本人の体質に合った食材の選び方
よくある間違い(6) “腸活のために毎日「映えサラダ」を作っています”
野菜を積極的に食べることはいいことです。ただ、日本人には、日本人の腸に適した食事というものもあるので、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。 それが、「日本食」と「地中海食」です。 「日本食らしさ」を表す指標に、「日本食インデックス」というものがあります。これは、 (1) 米 (2) みそ汁 (3) 海藻 (4) 漬け物 (5) 緑黄色野菜 (6) 魚介類 (7) 緑茶 上記を食べるとプラス1ポイントとし、逆に、 (8) 豚肉・牛肉 を食べるとマイナス1ポイントとして換算し、点数が高いほど「日本食らしい」とするものです。この日本食インデックスが高い食事をしている人には認知症が少ないことがわかっています。 これを見るとお分かりの通り、先ほどお伝えした2つの「善玉菌」を育てる食事がそのまま当てはまります。実際、日本食インデックスの高い食事をしている人の腸内には、酪酸菌という「善玉菌」が多いことがわかりました。
世界の食文化は、腸内細菌と密接に関連しています。 たとえばパプアニューギニアの高地人は、年に2回ほど、お祭りの時にしか肉を食べず、毎日ほとんどサツマイモだけで暮らしています。にもかかわらず、筋肉隆々の体をしています。 それは、彼らの腸の中に「窒素固定菌」という腸内細菌がおり、サツマイモを食べることで腸内に発生した窒素をこの菌が食べ、菌が作り出すアミノ酸が筋肉となっているからです。 しかし、日本人がいくらサツマイモを食べても筋肉に変えることはできません。そのかわり、95%の日本人の腸内には、海藻を分解できる腸内細菌が存在します(中国を含む世界各国では15%ほどしか存在しません)。それゆえ日本人は海藻を食べることで酪酸菌が増え、酪酸が筋肉の萎縮を進めるHDAC(エイチダック)という酵素を抑えてくれるので筋肉を保持できるのです。 つまり、自分たちが持つ腸内細菌叢に合った食生活を送ることが大切なのです。 実は酪酸菌を増やすのは「日本食」だけではありません。「地中海食」も酪酸菌を増やします。ここで、地中海食の特徴を示す「地中海ピラミッド」の内容を見てみましょう。
地中海食らしい食事も「究極の善玉菌」である酪酸菌を増やすことがわかっています。食事の際には、ぜひ「日本食」と「地中海食」を取り入れてみてください。
江田 証