【専門医が教える腸活】サラダより日本食と地中海食がいい。日本人の体質に合った食材の選び方
こうなると、その隙間から「悪玉菌」などが作り出す毒素(LPSなど)が少しずつ血液中に漏れ出し、全身を巡ります(毒素血症)。これが「腸もれ」の状態です。 毒素はわずかな量ですから、熱が出るなどわかりやすい症状は出ませんが、長期間さらされ続けると、全身に慢性的な炎症を起こします(医学的にはLow-grade inflammationと呼びます)。自覚症状がなくても動脈硬化、肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、慢性腎不全、うつ病など、体の老化や不調を引き起こすことがわかってきました。また、慢性的に疲労を感じる方の中には、腸もれが原因の方もいます。 つまり腸もれは、健康や美容に大きな影響を与えます。腸のバリア機能が落ちるわけですから、免疫力にも影響します。 何もしなければ、腸の粘液は加齢とともに減っていくので、40~50代の方はぜひこのことを意識していただきたいと思います。
では、腸もれを防ぐために、どんなことに注意すべきでしょうか? まず「果糖」の摂りすぎは、リーキーガットを生じる原因の代表です。「果糖ブドウ糖液糖」を含んだ甘いソフトドリンクの飲みすぎには要注意です。 また腸のバリア機能を高めるために、「善玉菌」の中でも前回の記事に出てきた「酪酸菌」を育てる、豆類、穀類、果物、野菜(特に根菜)、海藻類と、「アッカーマンシア・ムシニフィラ」という「善玉菌」を育てるブドウやクランベリーなどのベリー類、そしてリンゴや緑茶を積極的に摂りましょう。 なぜ「酪酸菌」や「アッカーマンシア・ムシニフィラ」という腸内細菌を増やすと腸のバリア機能が高まるのかご説明します。 まず、酪酸菌を育てるメリットは、酪酸菌が作る「酪酸」という成分が、腸の粘膜の細胞のエネルギー源になり、腸に粘液を分泌させる機能があることです。 また、アッカーマンシア・ムシニフィラを育てるメリットは、この菌に、薄くなって傷ついた腸粘膜の細胞と細胞の隙間(タイトジャンクション)を密着・結合させ、腸のもれやすさを防ぎ、腸がスカスカになるのを改善してくれる作用があることです(しかも、酪酸菌と同じように腸の粘液を増やすことにも寄与します)。 前回、私は1日5皿(350g以上)の野菜と200gの果物を摂りましょうとお伝えしましたが、この中に上記の食材を少しずつ取り入れていただくのがいいと思います。