「甲子園は異次元」阪神の〝レジェンド〟マートンさんが語った愛にあふれる言葉 球場完成100周年
今夏に完成100周年となる兵庫県西宮市の甲子園球場を本拠とするプロ野球の阪神で活躍し、米国でも1914年開場のリグリー・フィールドがホームのシカゴ・カブスでプレーしたマット・マートンさんに、両球場での貴重な経験を聞いた。現役時代から変わらない誠実な人柄で「両球場の歴史は非常に深くて豊か」と時に熱い口ぶりで語ってくれた。対戦相手について細かくノートに記して来日1年目からの成功につなげ、日本文化の吸収にも熱心な選手だった。日本の球史にも造詣が深く、感謝や祝福の言葉は愛にあふれていた。(共同通信=木村督士) 【写真】阪神、夏の限定ユニホーム発表 「ウル虎の夏2024」
―二つの球場の共通点は。 「リグリー・フィールドの外野フェンスにはツタがあるし、甲子園球場は外壁にツタがある。両球場の歴史は非常に深くて豊か。多くの共通点があると思う。両方のファンはすごくチームを誇りに思っているし、家族何世代にもわたって応援していることも多い。甲子園球場には元々アマチュアのための会場として創設されたという、ある種の独自性がある。甲子園大会におけるアマチュア野球の歴史、ベーブ・ルースが来た20世紀前半の日米野球、タイガースの存在…。甲子園が戦前から長きにわたり愛され、歴史的なボールパークであり続けているのは本当に素晴らしいし、特別なことだ」 ―ファンの印象は。 「両方ともファンがすごく情熱的で、極めて特別。本当にチームを応援しているから、遠征にもよく行く。だから対戦相手の球場でも、カブスもタイガースも応援してくれる多くの仲間が普通にいる。タイガースの応援席はちょっと独特。旗を振ったりしているよね。タイガースは選手それぞれに応援歌があって、旗が振られたりする。まるでファンが第1球(試合開始)から試合の最後の最後まで一体となっている。リグリー・フィールドもそうなんだけれど、私の意見では、甲子園は異次元だ」
―ウインディー・シティー(風の街)と呼ばれるシカゴのリグリー・フィールドと、甲子園の浜風について。 「風は両方の球場で影響を与えている。たぶんリグリー・フィールドの方が、全体としてちょっと風の存在が大きいと思う。球場の外野がそれほど高くなく、遮る建造物が少ないから。甲子園は外野の部分が高く建てられている。甲子園では海からの風が一定して右方向から吹いて、レフト方向へと抜けていく。リグリー・フィールドの風はコンスタントに変わる。甲子園より変化があると思う」 ―選手としてはどちらが難しい。 「守備で言うと、リグリー・フィールドでの方がちょっと難しいかな。自分が(カブス時代の方が)より若かった、それほど経験がなかった、という理由もあるかもしれない。ただ、リグリーの風は本当に際立っている。守備に影響を与えていると思う。(同様にカブス、阪神の両方でプレーした)福留(孝介)さんに聞いてもいいかもしれないね」