掛布雅之が「結果を出し続ける」ために大切にしてきたこと…突き抜けた選手になるには「本当の継続」が必要だ
突き抜けた練習量と結果を目指そう
みんながみんな、ワッショイ、ワッショイでは、悔しさも何もない。「チームが勝てばいい」という控え選手ばかりではダメなのです。 「俺もあの場面で打つために練習している」と悔しさをかみ締める選手が多ければ多いほど骨太のチームになるのです。 最近の若い選手は仲がよすぎます。ギラギラしたもの、貪欲さがないのです。 自分のことをよく言うわけではありませんが、私が入団して3年目ぐらいでレギュラーを取ったときは、他の選手を黙らせるぐらいの結果を出しました。オープン戦で打率4割、ホームランも5本ぐらい打ったのですから。 当時の主力投手の江本孟紀さんもある記事で書いていました。 「掛布も入ったときはめちゃくちゃ守備が下手だったけど、怒ることができなかった。誰よりも遅くまでノックを受けている選手に対して、叱るなんてできないでしょう。それぐらいあいつは守備の練習をしていた。だから、あいつはうまくなったんだ」と。 ライバルに勝つにはそれぐらい突き抜けた練習量と結果が必要なのです。
心技体の「体」が最後はものを言う
もちろん、強い気持ちで人一倍の練習をするには、それに耐える「体の強さ」が必要です。最終的にはスタミナ勝負となるのです。それがないと野球というのはうまくなりません。頭で考えるだけでは技術は身につかないのです。 歴代のレジェンドと言われる人たちはケガで休まない強さを持っていました。王さんや長嶋さん、落合さん、イチロー氏だってそうでした。今ならヤクルトの村上選手にも体の強さを感じます。何より試合を休みませんから。 さらに、ライバルの存在も自分を高めてくれます。私にとっては佐野仙好さんがそうでした。同期入団ですが、向こうは大卒のドラフト1位で、こちらはテスト生同然の高卒ドラフト6位入団です。 2人ともコーチから鬼のようにしごかれましたが、佐野さんも体が強いし、音をあげませんでした。その猛練習でフラフラになりながら、私は佐野さんに勝つために一人での練習を続けたのです。 その継続で基礎の部分、「1」をつくることができました。「0」から「1」にするのが一番難しく、「1」になってしまえば、「2」や「3」には割と楽に上がっていけるのです。基礎が「0」だと技術の積み上げができないし、崩れたときに立て直すことができなくなります。
掛布 雅之(プロ野球解説者、評論家)