F1ラスベガスGP、底力が試されるのは”第2回”? 初開催は成功裏に終わるも「どんなことからも学ぶことがある」
昨年のド派手演出は「やり過ぎた」
そしてF1およびラスベガスGPのチーフ・コマーシャルオフィサーであるエミリー・プラツァーは、開催2年目になり地元住民からの理解も得やすいと説明した。 「このようなことは前例がないので、(ラスベガスGP初開催に向けて)地元コミュニティは不安だったと思います」とプラツァーは振り返った。 「ラスベガスの大通りを期間中封鎖するために、このグループほど積極的に行動した人はいないと思います。だから彼らが懸念を抱いたのも理解できます」 「しかし私が思うに、我々はロジスティクスの面で証明することができました。今取り組んでいるのは、建設にかかる時間を短縮することです」 「我々はより強力なコミュニティとコミュニケーション計画に一丸となって取り組んでおり、6月末には計画がスタートする予定です。意見を言う権利は全員にありますし、完璧になると決して言うつもりはありませんが、我々はそうした不安を和らげようと、より懸命に努力するつもりです」 F1はイベントのプロモーションやチケット販売に関しても、重要な教訓を昨年のラスベガスGP初開催から得た。F1がしばらくの間、大規模なマーケティング活動を控えている理由もそこにある。 「昨年と今年の違いは、これまではマーケティングとチケット販売を行なう期間が18ヵ月あったことです。そのため昨年は、かなり盛大なローンチパーティーで幕を開けました」とプラツァーは語った。 「我々が見た(チケット)購入者の傾向として、イベント開催時期近くに購入する傾向があります。これはリゾートの全てのショープログラムで見られる傾向だと思います」 「そのため、我々はサマーブレイク明けのプロモーションを強化するため、マーケティングキャンペーンを大幅に調整しました。ただ、ほぼ売り切れになるだろうと思われるほど、強い需要があると見ています」 またラスベガスのカジノ側は、開催初年度はどんなイベントになるのか分からなかったため遠ざかっていた客からの需要も増えると考えている。 「常連客や知名度の高いゲストの多くから、初年度は大げさな宣伝が多くて行くのが少し不安だったという話を聞いた。その後素晴らしいレースを観て、今では実際に行こうとしてくれている」とガルブランツは明かした。 「これまで尻込みしていた人たちが、本当に素晴らしいレースを観たことで、また別の波が押し寄せてくると思う。そして彼らは今、我々の中に加わろうとしている。リピーターも出てくるだろうし、新しい人もやってくるだろう」 また、F1ドライバーにとっても朗報がある。F1側は、レッドブルのマックス・フェルスタッペンをはじめ一部のスタードライバーを混乱させた昨年の派手な演出は必要ないと考えているようだ。 「あの週末、ある特定のドライバーがとても声を挙げていました。でも最後に、彼が無線で“ビバ・ラスベガス”を歌っていた姿を見たと思います」 プラツァーはそう語った。 「新しいレースということで、彼らも違ったストレスを抱えていたと思います。彼らはこのコースを走ったことがなかったですし、自分たちが何をしようとしているのか理解できなかったと思います」 「とはいえ彼らは準備期間中、信じられないほど協力的で、レースを盛り上げるためのプロモーションを一緒にやってくれました。オープニングセレモニーも文句を言わずに参加してくれました」 「誰もがそうであるように、実際週末を迎えるにあたり、彼らにはやるべきことが沢山あり、少し不安だったともいます。しかし、我々がお願いした活動に参加しなかったドライバーはひとりもいません」 「今年は全体的に、少しトーンダウンさせます。確実に、昨年はやり過ぎました」 常に改善点は見つかるモノだが、ひとつハッキリしていることは、ラスベガスはF1の到来を喜んでいるということだ。 MGMリゾーツ・インターナショナルのスティーブ・ザネラは次のように語った。 「F1は、世界のスポーツエンターテイメントの中心地としてラスベガスを確固たるモノにした。我々が見せることができたのは、驚くべきモノだった」 そしてガルブランツは次のように続けた。 「エキサイティングなモノになることは誰もが分かっていたと思うが、実際はそれを超えるモノだった。ホスピタリティ、信じられないようなレース、格別な環境など、様々な面で素晴らしいモノを提供できたと思う。我々ベガスの街にとっても、これまでにない露出になったと思う」 「このような世界的な露出は今までに見たことがない。今後何年にわたって恩恵を受け続けられるだろう」
Jonathan Noble