【闘病】大腸がん 「いつ死んでもいい」という想いと時おり訪れる「再発」の恐怖
術後、まさかの合併症が…
編集部: 実際の治療はどのように進められましたか? M.Oさん: 内視鏡では良性のポリープのみ取れて、がん病変は取れなかったので、やはり手術になりました。「がんの部分の腸を切ってまた繋げる」とのことでした。手術は腹腔鏡手術で、お腹に5箇所の穴と、お尻からも器具を入れたそうです。 術後3日間、お尻に長さ10cmくらいの管が入っていて、縫ってあったとのことです。これがすごく痛くて大変でした。排尿はカテーテルでした。 手術自体は成功し、術後は絶飲食、2日後から飲水のみOK、4日後から食事スタートの予定でしたが、手術部からの排液を流すドレーン内の排液が白濁してきて、「乳び腹水」という合併症と診断されました。また絶食となってしまい、切なかったです。 編集部: 食べられないのは辛いですね。 M.Oさん: 食べられなかったので、術後7日目にCVカテーテル留置の処置(鎖骨の上辺りから針を入れる)をして高栄養の点滴を入れることになりました。それと並行して、飲み物はOKでしたので、高栄養の液体を服用することになりました。 個人的にはとても不味くて辛かったです。手術部の癒着を防ぐため、院内をなるべく歩く(牛歩でしたが)ようにしていました。このときまだ排液用のドレーンは入っており、それの量と色をチェックされていました。 術後13日目にやっと食事がスタートし、重湯から徐々に三分がゆ、五分がゆ、七分がゆ、普通食と進みました。栄養士さんと話す機会もあり、パン食の対応をしていただいたり、今後の食事のアドバイスもいただいたりしました。 編集部: 大変でしたね。 M.Oさん: 病理検査の結果で「転移なし。深さは粘膜下層まで」ということで『ステージ1』という診断が出たのが救いでした。 私自身もホッとしましたし、一緒に聞いていた主人の表情と「あー良かった」という言葉で、どれだけの想いを抱えていたのかが伝わってきて、そういう意味でも一安心しました。 ちなみに、一部リンパを取ったそうですがその中に子宮内膜症の嚢腫があり、爪なども入っていたそうです。ガス(おなら)が出て、排便があれば退院して良いと言われましたが、私の場合排便がなく、結局下剤に頼りました。術後17日目に退院となりました。 編集部: 受診から手術、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。 M.Oさん: 周りへの告知は難しいなと思いました。特に父はパニックになり、義両親にも電話をしてしまって、がんであることを言ってしまいました。 それだけでなく「〇〇くん(主人)は一緒にいて気付かなかったのか」「もっと早く病院に連れていってくれれば」とまるで『お宅の息子は何やってたんだ』みたいな言い方でした。幸い義両親は穏やかに収めてくれましたがこちらとしては申し訳なくて仕方なかったです。 主人や母は、とにかく心配、不安、物理的負担が多かったと思います。病気というのは時に、本人よりも周りが大変だとしみじみ感じました。職場には、ズバッと伝えました。誰にどこまでと線をひいてもどうせ伝わるし、間 違った噂が立つのも嫌だったので。ただ、後になって「言われてどう反応していいか戸惑った人もいたのかな」と思いました。