姫路城は「二重価格」導入を検討、増える訪日客への対応を模索
海外に目を転じると、オーバーツーリズム対策を実験的に始めた例がイタリアにある。4月下旬から7月半ばまでの週末などを中心に、観光地ベネチアを訪れる日帰り観光客に、文化遺産保護を目的に1日5ユーロ(約850円)の入場料が請求される。支払わないと最大で300ユーロの罰金が科される。
導入を巡っては、抗議する人々らが旧市街への入り口でプラカードを振りかざしてデモを実施するなどの混乱もあった。参加者らは、観光客に入場料を課すのではなく住民へのサービスや住宅供給を増やすことが必要だと主張した。今後、入場料の是非については個々の判断に委ねられることとなりそうだ。
広がるコト消費
政府は18日、24年版の観光白書を閣議決定した。同白書によると、23年に外国人旅行者1人当たりの消費単価が19年比で約3割増えた。特に宿泊や娯楽、交通費の伸びが大きく、体験消費を含むコト消費に成長の兆しがみられると分析する。
その上で、外国人旅行者の地方誘客や消費拡大に向け、豊かな自然や文化、食といった地域独自の資源を生かした、質の高い体験コンテンツを提供することや、長期滞在の促進の必要性が挙げられている。
オーバーツーリズムへの取り組みも並行して前進し始めた。観光庁は3月、持続可能な観光地域づくりの実現を目指し、観光客の受け入れ環境整備や増強などの具体策を実情に応じて行う地域の事業に対して補助金を出すなどの支援計画を示し、先駆モデルとなる20の地域を選定した。
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--取材協力:長谷部結衣.
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Akemi Terukina