まん延防止は「緊急宣言並み」? 政府と吉村知事が言及する「より強い措置」とは
「いま(まん延防止等重点措置の下で)行っている時短要請は、前回の緊急事態宣言とほぼ同じ内容だ」 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない大阪府の吉村洋文知事は14日夜、報道陣に対して、こう口にした。まん延防止等重点措置は5日から大阪、兵庫、宮城の3府県に適用され、その後東京、京都、沖縄に範囲が拡大された。一方、飲食店の時短営業をしている点において違いが見えにくく、緊急事態宣言と何が違うのか分かりにくい面がある。改めて整理してみたい。
「緊急事態宣言並み」ってどういうこと?
奇しくも、この日の午前、衆院内閣委員会では西村康稔(やすとし)経済再生担当相が、立憲民主党の今井雅人氏から「『まん延防止等重点措置で緊急事態宣言並みの制限をかけている』と説明しているが、まん延防止と緊急事態宣言の違いってなんだろう。分かりにくい」と迫られる場面があった。 西村担当相は、「緊急事態宣言並みと何回か答弁したが、これは今年の1月から3月にかけての緊急事態宣言のときに(飲食店に対する)20時までの時短を行った。それからイベントを5000人までに制限した」と経緯を説明。「正確に申し上げると今回の1月から3月にとった緊急事態宣言と同等の措置をとっていると(いうことだ)」と補った。
「休業要請」がポイント
「ただ」、と西村担当相。「緊急事態宣言はまん延防止ではできない、休業要請までできることになっている。逆に言えばまん延防止は時短要請がもっとも強い措置。緊急事態宣言になれば、休業要請。そして、どこでクラスターが起きているのか分析を含めて、飲食店以外の業種にも場合によっては時短要請、休業要請をかけられる。そういう意味では緊急事態宣言は一段と強い措置がとれる」と緊急事態宣言の特徴を強調した。 この「休業要請」が両者の違いを示す1つのポイントだ。 大阪府が兵庫県、宮城県とともにまん延防止等重点措置に適用されたのは5日。現在、府内で措置の対象は大阪市だけだ。吉村知事は効果が出る2週間後(19日の週)の数値を注視するという。 吉村知事は「大阪市外も(午後)9時(まで)の時短をすでにやって(おり)、府全域へ不要不急の外出自粛を呼び掛けている。この対策を徹底することが重要だ。これを徹底してもまん延防止で効果がないということであれば、大阪市外の9時のところを8時にするという判断ではなくて、ここは緊急事態宣言に移るべき。その中身が大事で、やはり休業要請を含めたより強い措置にしなければならないと思う」と述べた。 一方、吉村知事は休業要請について「副作用が大きい」と表現。「いまやっている前回の緊急事態宣言と同レベルの内容で感染が減少する、あるいは感染拡大の山をなんとか抑えられているという効果が見られるようならそれを徹底すべき。その判断は来週の感染者数を見て(から)」とも語った。