エクソソームが含まれていれば、少なくとも2種類の「テトラスパニン」というたんぱく質が検出されるはずだが、分析の結果、十分に検出されたのは4品目だけ。残りは2種類のうち一方しか検出されなかったり、その量が基準に満たなかったりし、ひどい場合には粒子らしいものが全く見つからないなど、多くの製品で品質に疑わしい点がみられたという。

厚労省注意呼びかけ

　日本再生医療学会の岡野栄之理事長は昨年11月、厚労省の部会で「何らかの規制下に置くことが望ましく、問題点の精査が必要」と提言。今年4月には「リスクを十分に理解し、患者の安全確保に努めなければならない」などとするガイダンス（手引）を公表した。

　こうした動きを受けて、厚労省は治療目的で使用できるかのように誤認させるようなエクソソーム試薬について、販売した業者への指導や取り締まりを徹底するよう都道府県に通知。クリニックなどに対しても注意喚起の通知を行った。

　厚労省医政局研究開発政策課は「エクソソームを用いた医療はこれまで有効性や安全性が確かめられたものはなく、実施する場合には学会のガイダンスも参考に安全に配慮してもらいたい」としている。