睡眠不足の上司は部下に当たり散らし、心を落ち着かせている...「仕事と睡眠」の驚きの関係
睡眠不足と不正行為とは関係がある、睡眠時間上位の企業は利益率も高い......日本のリーダーたちはもっと寝るべきだ
睡眠不足は病気や死亡のリスクを高めるだけでなく、人間関係や不正行為との間にも関連性があるとされる。 【図表】世界の移住したい国人気ランキング、日本は2位、1位は... 今こそ、この1年の働き方を見直す良いチャンス。グロービス経営大学院でリーダーシップ・組織開発などを教える若杉忠弘氏に、ビジネスパーソンに睡眠が及ぼす影響について聞いた。 ※本稿は、若杉忠弘著『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』(かんき出版)の一部を再編集したもの。
リーダーの健康はメンバーの健康につながる
想像してみてください。みなさんが、自分の心身をかえりみないリーダーのもとで働いている状況を。 このリーダーは、朝、だれよりも早くオフィスに到着し、家に帰るのも遅く、仕事を持ち帰っては、夜遅くまでメールやチャットでコミュニケーションを取り続けています。 疲れた様子で、目にはくぼみが見え、睡眠不足の兆しも見てとれます。体調もいつも万全とはいえず、どこか無理をしているようです。 趣味など仕事以外の活動に時間を使っているようには見えず、仕事に一心不乱に没頭しています。仕事で成果を上げることに、人一倍責任を感じています。 みなさんは、こうしたリーダーのもとで働きたいでしょうか。 もし、一緒に働きたくないと思ったとしたら、こうした上司をもつことは、みなさんにとって大きなストレスになります。 もし、一緒に働きたいと思ったとしたら、みなさんは、このリーダーの働き方をロールモデルにすることでしょう。今度は、みなさんが一日中働き続けるようになり、体調を崩しやすくなります。 どちらの場合でも、こうしたリーダーのもとで長く働いていると、みなさんの心身への負担になります。そして、心身の健康を崩してしまえば、もちろん、仕事のパフォーマンスは落ちます。 自分をケアしないリーダーのもとでは、メンバーは自分の健康を守ることが難しくなるのです。言い換えれば、自分をケアするリーダーのもとでは、メンバーも自分をケアすることができます。これはデータに基づく事実です。 実際、ある保険会社で、リーダー47人とメンバー466人を調査した研究では、次のことが明らかになっています。 自分の心身をケアするリーダーのもとで働くメンバーは、自分の心身もケアをしていました。そして、そうしたリーダーのもとで働いているメンバーほど、実際により健康だったのです。 リーダーは、自分の心身を疎かにすると、メンバーの心身に負担をかけてしまうことを重々認識する必要があるのです。