「彼女の可能性は天井知らず」名コーチが明かす“19歳の新星”石井さやかの資質<SMASH>
また、多くのフィジカルに恵まれた選手を見てきた彼の目にも、石井のパワーはトップレベルに映っているという。「ラビーが、さやかは誰が相手でもパワーで打ち勝てると言っていた」と伝えると、ゴドウィンは「100%、僕も同意見」と即答した。 「さやかは、特別な才能に恵まれた選手の一人です。天性のパワーがあるので、それを生かしてプレーするのは、ごく自然なこと。ここからは戦術も習得していく必要がありますが、その点に関しては、クリフが良い仕事をしてくれています。僕がさやかを最後に見た時から今回までの間で、非常に大きな進化が見られましたから」 ゴドウィン氏が最後に石井を直接指導したのは、今年の4月。そこから約半年開き、今回の全日本選手権時に合流した。久々に石井を見て、ゴドウィン氏が最も感じた変化や進化とは、何か? 「一番大きいのは、精神面です。以前よりも、戦う姿勢が良くなりました。身体的表現が、非常にポジティブになったのが良い点です。以前の彼女は、自分で自分を追い込む方向に行きがちだった。それは日本的なものなのかもしれませんが、肩を落とし、落ち込んでいるように見えました。ですが、僕がここ最近見ている7試合(全日本から東レ本戦2回戦まで)では、そこが改善され、毎試合ごとに良くなってもいます。そこは、とてもうれしく思う点ですね」 ゴドウィン氏が言及するように、石井本人も、コーチ陣や父親からも口酸っぱく注意を受けるのが、「メンタル面」だと言っていた。特に二人のコーチからは、「怖いさやかを見せるように」と指導を受けているという。「怖いさやか」とは、いったい何を意味するのか? ゴドウィン氏が、笑顔で明かす。 「僕らの言う“Scary Sayaka(怖いさやか)”とは、第一に、彼女は多くの場合で対戦相手よりも大柄ですから、その威圧感を活用すること。それに彼女はとてもパワフルなので、フルスイングでボールを打たれたら、それだけで相手は脅威を覚えるでしょう。“カモン!”と叫ぶのも、良いことです。彼女の“カモン!”は、迫力がありますからね。エネルギーに満ち、ポジティブな態度を示すこと。胸を張り、堂々と歩く……それが、“Scary Sayaka”です」