「グリーン」と「デジタル」 菅首相が施政方針演説で語った内容は?
2035年までに「電動車100%」を実現
「まずは次の成長の原動力を作り出す。それが『グリーン』と『デジタル』」 「『2050年 カーボンニュートラル』を宣言した。もはや環境対策は経済の制約ではなく、社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換、力強い成長を生み出すカギとなる」 「まずは政府が環境投資で大胆な一歩を踏み出す。過去に例のない2兆円の基金を創設し、過去最高水準の最大10%の税額補助を行う」 「次世代太陽光発電、低コストの蓄電器、カーボンリサイクルなど野心的なイノベーションに挑戦する企業を腰を据えて支援することで最先端技術の開発、実用化を加速する。水素や洋上風力など再生可能エネルギーを思い切って拡充し、送電線を増強する」 「デジタル技術によりダムの発電を効率的に行う」 「安全最優先で原子力政策を進め、安定的なエネルギー供給を確立する」 「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」 「先行的な脱炭素地域を創出するなど、脱炭素に向けたあらゆる全体の取り組みの裾野を広げる」 「世界的な流れを力に、民間企業に眠る240兆円の現預金、さらには3000兆円ともいわれる海外の環境投資を呼び込む。そのための金融市場の枠組みもつくる。グリーン成長戦略を実現することで、2050年には年額190兆円の経済効果と大きな雇用創出が見込まれる」
強力な権能を持った「デジタル庁」
「この秋、デジタル庁が始動する。デジタル庁の創設は改革の象徴であり、組織の縦割りを廃し、強力な権能と初年度は3000億円の予算を持った司令塔として国全体のデジタル化を主導する」 「クラウド化に向け、自治体のシステムを統一、標準化を進め、業務の効率化と住民サービスの向上を徹底する」 「マイナンバーカードの普及のため、マイナポイントの期限も半年間延長する。この3月には健康保険証との一体化をスタートし、4年後には運転免許証との一体化を開始する」 「行政機関の保有する法人などの登録データを、システム上のいわゆる『ベースレジストリ』(※2)として整備し、デジタル社会の形成に不可欠なデータ利活用を進める」 「組織の要は人だ。公務員の採用枠にデジタル職の創設を検討し、高度なスキルを持つ民間人材を迎え、自治体、民間とも行き来させ、官民のデジタル化をダイナミックに進める」 「教育のデジタル化も一気に進める。小中学生に1人1台のIT端末を備え、9000人のデジタル専門家がサポートする。子どもたちの希望や発達段階に応じたオンライン教育を早期に実行していく」 「あらゆる手続きが役所に行かなくてもオンラインでできる、引っ越した場合の住所変更がワンストップでできる、そうした仕組みをつくる」 「高齢者や障害者、デジタルツールに不慣れな方々もしっかりサポートし、誰もがデジタル化の恩恵を最大限に享受できる社会をつくり上げていく」 「民間企業においても、社内ソフトウェアから生産・流通・販売に至るまで、企業全体で取り組むデジタル投資を税制で支援する」 「ポスト5G、6Gをめぐる国際競争が加熱する中、官民挙げて、研究開発を進め、通信規格の国際ルール作りを主導し、フロントランナーを目指す」 (※2)ベースレジストリ…デジタル時代のデータ活用や連携を前提とした台帳のことで、情報を一貫性を持って管理する仕組み