AI推しの「Google Pixel 9 Pro XL」のカメラはどれくらいAIなのか? 試してみて分かったこと
「マニュアルモード」もいい感じ
また右下の調整ボタンをタップすると、マニュアルモードになり、明るさ、ホワイトバランス、ISO感度、シャッタースピードなどをその場で調整できる。マニュアルモードを別途用意するよりは通常の写真モードから簡単に必要な設定だけをいじれる方がいい。 例えば、シャッタースピードを1/10000秒まで上げて水を撮ってみた。 いちいち「マニュアル撮影」を別機能として用意する(得てしてたいていそれは使いづらい)と、そういうのが好きな人しか手を出さないのだけど、このように通常の写真モードから呼び出せると、必要なところだけさっといじれて良いのだ。 ちなみにシャッタースピードを落とすときは「長時間露光」モードを使うといい。超高速連写+合成で水が流れているように見せてくれる機能で、昼間でも超スローシャッターぽい写真が撮れる。
写真に魔法をかけよう
まあなんというか、今やハイエンドスマホのカメラの基本画質の向上って細かいチューニングの世界に入ってて、暗所に強くなったといっても日常生活の範囲内なら十分きれいに撮れる。 逆光でもHDRが頑張ってくれるし、個人的には望遠カメラのクオリティーをもうちょっと上げてほしい(一般論として)と思うけど、ボディーのサイズに制限がある限り難しいし。 それ以上に何かレベルアップしようと思うと、例えばデジタルズームの画質を上げようと思ったら、AI的な手法(ディープラーニング)を駆使するしかないわけで、ある程度「目にしたままのシーンを撮影できる」ようになったら、あとは「写真に魔法をかけよう」の方向へ行くしかなく、Pixel 9 Pro/XLはそこをすごく分かりやすく表現してくれているのである。 何しろ「写真」とか「ポートレート」というおなじみの機能と同じ並びに「一緒に写る」や「長時間露光」や「アクションパン」といった、コンピュテーショナルフォトグラフィー(そういえば最近この言葉を聞かなくなった。当たり前になったからか)的撮影機能があるのだ。 その辺のシームレスっぽさがPixelっぽい。 そして、「写真に魔法をかける」といえばGoogleフォトの編集機能。 あまりに暑かったので日陰で休憩している写真があるのだが、背景に人がいっぱい写っている。 Googleフォトで「編集」を開くと、左下に「編集マジック」なる魔法のボタン。 まだ初期段階なので……とただし書きが出るが、もちろん「今すぐ試す」。 取りあえず、人を消してみよう、ってんで選択していく。消しゴムマジックでも同じようにできるけど、ここは「編集マジック」で押し通して消す。 消えた。生成AIものの常として複数の候補が出てくるのでそこから選ぶのもOk。 さらに、編集マジックボタンをタップすると、「オートフレーム」と「ポートレート」が出てきた。 「ポートレート」では背景をぼかし、「オートフレーム」ではメインの被写体に合わせてトリミングしてくれる。 その結果がこちら。 よく見ると、彼女の後ろにちょうどかぶっている子供の右手が消せてないけど……まあそれはいずれ。 もう1つ、背景も変えてみた。背景をセレクトして「イマジネーション」。 すると、生成AIらしくプロンプトを入れろというので、英語のプロンプトにのみ対応していますというけど、日本語で「夏のニューヨーク」と入れてみたら大丈夫だったようで。 そうしたら、人々がくつろいでるニューヨークのセントラルパークっぽい背景になって、夏っぽさが出ましたとさ。 マメにプロンプトを調整していけば元の写真をベースにしたイメージのバリエーションを作れるかな。 他にも、ズーム画質向上(ディテール描写を強化する)、ボケ補正(ボケている画像をくっきりさせる)などの機能も搭載してきている。ズーム画質向上はデジタルズームで撮った写真にかけると効果的だ。 「一緒に写る」から「編集マジック」まで、常用できるレベルに達しているかどうかはまだケースバイケースではあるけれども、カメラや写真でもAIスマホを標ぼうするだけのいろんなアイデアが盛り込まれたPixel 9 Pro XLだったのである。 (モデル:長谷川実沙)
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