ボーイング、「スターライナー」で380億円の追加損失–損失総額は2800億円
米Boeing(ボーイング)が宇宙船「Starliner」(スターライナー)プログラムで2億5000万ドル(約380億円)の追加費用を計上したことが、SpaceNewsにより報じられている。 Starlinerは、国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の送迎を米航空宇宙局(NASA)が有償で民間企業に委託する「商業乗員輸送計画」(Commercial Crew Program:CCP)として製造された4人乗りの宇宙船。 6月に初の有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)として2人の宇宙飛行士をISSに輸送した。スラスターの故障から無人の状態で地球に帰還した。8月には、Starlinerプログラムで1億2500万ドル(約190億円)の追加費用が計上されたことが明らかになっている。 Boeingが米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によれば、第3四半期(7~9月)に計上された2億5000万ドルの追加費用は「主にStarlinerのスケジュールの遅れと試験、認証コストの増加を反映したため」だとしている。これは、先述の1億2500万ドルの損失に加えて計上される。 今回の報告により、BoeingがStarlinerで計上した損失の総額は18億5000万ドル(約2800億円)となる。8月にBoeingの最高経営責任者(CEO)に就任したKelly Ortberg氏は、今回のような損失があったにせよ、Starlinerのような固定価格プログラムでの開発を継続すると述べている。 Starlinerは実運用前の段階。実運用ミッションである「Starliner-1」は2025年2月から2025年8月に延期となっていたが、現段階で実運用ミッションの時期は未定となっている。
塚本直樹