無名の町に人を呼び込む「周遊型謎解きイベント」が今日本で急増しているワケ
認知を広めた東京メトロ「地下謎への招待状」
この周遊型謎解きイベントを広く認知させたのが、約10年前から東京メトロで実施しているナゾトキ街歩きゲーム「地下謎への招待状」だろう。 東京メトロ乗り放題の専用24時間券と謎解きキットを手に、参加者がプレイヤーとなって沿線の街に隠された謎を解き明かしながらゴールを目指す体験型ゲームだ。シリーズ累計51万人以上が参加した人気イベントである。 東京メトロ(東京地下鉄株式会社)広報部はこう話す。 「ナゾトキ街歩きゲーム『地下謎への招待状』は、2014年から株式会社SCRAPとの共催でスタートさせました。当時の担当者が謎解きと東京メトロのアセットを組み合わせた新しいことをできないかと考え、同社にお声かけしました。 当時の東京メトロのイベントはスタンプラリーが中心で、主にお子さま向けの企画であったことから、大人向けの有料のスタンプラリーがあってもいいのではないか。その方向性で検討する運びとなり、『謎解き』と『沿線地域の活性化』をからめた『周遊型謎解き』が生まれました」 当初はいわば駅のスタンプラリーの拡張版として始まった企画だったが、従来とはどこが違い、新しさは何だったのだろうか。 「スタンプラリーはスタートする時点で行先が決まっており、自分で周遊する順を決めるのですが、『地下謎への招待状』は、謎が解けるまで次の行先が分からずワクワク感が楽しめます。 スタンプラリーは駅構内から外に出ることなく達成できますが、『地下謎への招待状』は駅から街へ繰り出すことで、新しい発見があります。周辺のカフェやレストランに入って謎を解くお客様もいらっしゃるため、来街者の増加だけではない『沿線地域の活性化』にも貢献できていると考えています」
デジタルとリアルを組み合わせた謎解き
参加者は幅広い年齢層で「謎解きの難易度が高いので、解けた時の感覚が忘れられない」「今まで行ったことがない駅に行けるので新しい発見があり楽しい」などの声が寄せられているという。 これだけ集客できた理由について、東京メトロは「本イベントが初回開催された2014年は謎解きが注目され始めた初期段階。そのタイミングで謎解きイベントの第一人者であったSCRAP社と組めたことが最大の理由ではないか」と分析している。 東京メトロではその後も今年5月31日から8月31日まで「メトロタイムゲート」という新企画を実施した。オリジナルマンガと街歩きを掛け合わせた謎解きであるところが新しいポイントだ。 参加者はマンガのキャラクターの仲間として一緒にゲームを進めていくので、自らがマンガの登場人物のようにストーリーに沿って移動する場所が変わっていくところに面白さがあるという。 さらに、現実世界にデジタル情報を重ねて表示するスマホのAR(Augmented Reality)機能を使うことで、キャラクターと記念撮影ができるなど、デジタルとリアルを組み合わせて謎解きが楽しめるのが特徴だ。