無名の町に人を呼び込む「周遊型謎解きイベント」が今日本で急増しているワケ
池袋西口の「ディープな」世界を楽しんだ参加者
イベントに参加しているのは主に20代から40代で、グルメがテーマになっているせいか女性の比率が高く、子供連れのファミリーもいる。ゲーム終了後のLINEのアンケートでは「好評」のコメントが多数を占め、こんな書き込みもあった。「日本人に知られていない中華料理の多様性、たとえば清真料理(ハラール料理)や海鮮料理を、謎解きの過程で知ることができる仕組みに感動した」。 参加者は必ずしもガチ中華好きの人たちだけでなく、謎解きゲームのファンたちが半分以上を占めた。ふだんは訪れることのない歓楽街として知られる池袋西口のディープな世界を、謎解きを通じて楽しんだようだ。 「謎解きがあったから池袋に人が来た」。これはのちほど紹介するキット制作者のコメントだが、謎解きイベントが無名の町に人を呼び込む効果があることを物語っている。
「周遊型」が人気の理由
周遊型謎解きイベントとは、用意されたクイズ形式の謎を解きながら街をめぐり、その土地ならではの魅力に出会える体験型イベントだ。特に専門的な知識を必要としないこともハードルを下げており、子供から大人まで参加できる。「街歩き」と「謎解き」という2つの要素を異種配合させたところが魅力となっている。 今日盛況な謎解きカルチャーは2000年代に始まり、「リアル脱出ゲーム」の登場により人気が高まったとされる。「リアル脱出ゲーム」は、創始者である加藤隆生氏が率いる株式会社SCRAPの登録商標であり、一般名詞としては「リアル謎解きゲーム」「体験型謎解きゲーム」と称される、密室からの脱出ゲームが始まりだった。漫画やアニメ、タレント、地域の観光資源などと提携した各種イベントやキャンペーンが全国各地で展開されている。 その後、こうした脱出ゲームのような「公演型」から「周遊型」「webプロモーション型」などに発展していくが、今回取り上げているのは「周遊型」。ある特定の都市やエリアを歩きながら謎解きしていくものだ。イベント進行をLINEと紐づけているので、友人や家族、カップルなど、好きな時間に自分たちのペースで楽しめることも人気の秘密といえる。