歌手・黒木じゅん 苦しいときこそ感謝と“いつも通り”貫く
ムード歌謡を得意とする歌手・黒木じゅんが今年、デビュー30年を迎えた。1991年に『やせがまん』で第33回日本レコード大賞最優秀新人賞をはじめ13タイトルもの賞に輝き華々しくキャリアをスタートさせたが、その後はヒットに恵まれず現在に至る。父は往年の大ヒット『霧にむせぶ夜』で知られる昭和ムード歌謡の第一人者、黒木憲。これまでの歌手人生、常に親と比べられるという“イケてる”親を持つ子ゆえの苦労を背負ってきたが、ここ最近はそれも吹っ切れ自分のペースで愚直に歌手生活を続ける。コロナ禍で逆境に置かれ続ける芸能エンタメ業界にあって逆境を生き抜くたくましさを身に着けた黒木に近況を聞いた。
ボランティア活動に支障も配信ライブに活路
「父の黒木憲が僕と同じ25歳デビューで30年を迎えた年に脳梗塞で倒れ、それを境に芸能活動が出来なくなったんですね。ちょうど僕がいま同じく30年を迎えて、とても感慨深く特別な節目であると感じているんです」 その特別なアニバーサリーイヤーもコロナ禍となり、これまでとは異なる活動方法を考えないといけないようだ。 「5月19日に記念シングル『離れても』をリリースするのですが、これまでお付き合いのあったカラオケ店さんでも一切、新曲キャンペーンが出来なくなってしまいました」
厳しい状況にあることを吐露するが、キャンペーンだけではなくボランティア活動にも支障が出ていると嘆く。 「老人ホームなどの施設の皆さまに歌をお届けして元気になっていただきたい、との思いから『虹の会』(高橋圭三氏らが78年に創設した公益社団法人)のボランティアに携わらせていただいているのですが、コロナで施設をまわって歌うことも困難になりました」 しかし、うなだれている暇はない。 「そこで配信ライブではどうかと。施設にあるテレビなどを利用して配信でライブをお届けすることになり、すでに実際に行われて私も出演させていただいています」 配信ライブには、テレビにはないメリットがあることにも気づいたという。 「撮影現場の雰囲気自体はテレビと共通していますが、テレビの場合はご覧くださっている方々と会話は出来ません。ところが施設との配信ライブだと会話も可能なんですよね。(老人)ホーム側からの映像もこちら側から観ることが出来ます。そこがテレビとはまた違ったメリットですね」