歌手・黒木じゅん 苦しいときこそ感謝と“いつも通り”貫く
あえて元気ソングではなく“いつも通り”に
この流れをボランティア以外の芸能活動でも生かしていくつもりだという。 「直接ご覧いただくステージは大事ですが、当然、同時にご覧いただける人数は会場のキャパシティに限定されますよね。コロナ禍では3密を避けることもあってどのライブハウスもキャパシティを半分に減らすなどの対応を迫られています。そこで、ステージと同時に配信も出来るライブハウスが増えてきているので、われわれ歌い手もそうした方向で考えて行かないといけないな、と思うんですね。それが定着したら、むしろ生よりもたくさんの方々に観ていただくことも出来ますし、そういった仕組みが定着するよう歌い手側からも発信していかないとダメなのだろうと思っています」 そして、システムだけではなく楽曲的な面でも心がけていることがあるという。 「音楽の傾向って割と時代を反映したりする部分があると思うのですが、いまならこういう状況なのでいわゆる元気ソング的な楽曲を歌ったりということも考えられますよね。でもそこをあえて、いつも通りの黒木じゅんが得意とする楽曲でいこうと。どんな状況にあっても変わらないことが、逆に元気づけにもつながるのではと思いまして。イメージ的に元気づけのイメージだったり30周年の記念とかっていうものには、こだわらないことにしたんです」 あえていつも通りを貫くことで、励まされることもあるのだろう。 「これまでの30年間、自分の方向性が見えなくなって悩んだり考えたりしたことはもちろんありました。でもやっぱり歌が好きですし、応援してくださっている方々のお気持ちとか、私のために一生懸命頑張ってくださっているスタッフの姿を見ていると、当の本人が諦めちゃってはダメだな、と思うんです。何か一つでも、皆さまに御恩返しが出来る歌手になりたいという気持ちでこれからも続けていきます」 苦しいときこそ、感謝が大切ということか。黒木じゅんの活躍に期待したい。 (写真と文:志和浩司)