俳優・玉木 宏 × 落語家・瀧川鯉斗(後編)。ふたりが考える男の美学とは?
── 俳優、落語家、自分の仕事をどのように捉えていますか。 玉木 僕の代わりはいくらでもいると考えています。常に危機感を持っていたり、フラットでいることを意識し続けようと思っています。柔術や登山といった趣味も、俳優の視点でしか物事が見えなくなったり、頭でっかちにならないために必要なことなんです。 鯉斗 修行時代は自分の時間がなかったですね。真打になってからは自分の時間が作れるようになったので、色々と生活スタイルが変わってきました。玉木さんと出会い柔術を始めたように、自分の時間のなかで新しいことを経験することで、落語家として、人として成長できる気がします。
男の節目を迎えた今、ふたりが思うこと、これから向かう先とは
── 玉木さんは44歳、鯉斗さんは40歳。ともに40代ですが、カッコいいオヤジであるためには何が必要だと思いますか。 玉木 人生を楽しもうとする気持ちじゃないですか。もっと言えば、趣味を楽しむこと。仕事ももちろん大切ですが、仕事は経験を重ねると立場が自動的に上になっていきますし、周囲の人も気を遣ってくれるようになります。だからこそ、趣味を通じて自分をリセットすることが重要。知らない世界に飛び込むことで心機一転すれば、いつまでもカッコよくいられるんだと思います。 鯉斗 師弟制度がある落語界にいる人間として、今後弟子を取るようなことがあれば、後輩や弟子たちに素敵な落語家であり、素敵な人間だとお手本になるように生きていきたいですね。僕にとっての玉木さんのように。また、玉木さんの家庭を見ていると本当に家族っていいなぁと思います。今は独身なので時間をすべて自分のことだけに使っていますが、玉木さんといると家族のために時間を使うのはカッコいいし、平和な時間だなぁと思うようになりました。
── 玉木さんが最近演じられた「ゴールデンカムイ」(WOWOW)の鶴見篤四郎みたいな男はどうですか? 玉木 多くの人間を率いているだけあり、能力が非常に高い人間だと思います。冷酷さもあるし、恐ろしいことも平然とやってのける。でも僕はそのなかにも部下への愛情を持っている人物だと思います。そうでなければ、あれだけの人間がついてこないですよ。 鯉斗 僕は単純に怖いです(笑)。ただでさえ眼光鋭い玉木さんに、あのメイクで凄まれたら動けませんよ!