富士山と宗教(17)富士山に初めて登ったのは誰なのか
伊豆走湯山の勢力が富士山登山道を作ったのか
走湯山(そうとうざん)は静岡県熱海市の伊豆山にある今日の伊豆山神社のことで、修験道と深い関わりがある。 大高氏は「一般の人が富士山に登るようになったのは室町時代の終わり頃から。鎌倉や平安時代に富士山に入るのは、山岳修行をする人たちしか考えられない。(富士山は)中世より前の時代に山岳修行をする人たちによって開かれたのではないだろうか」と話す。著書「富士山信仰と修験道」の中では「各登山口は平安末期には伊豆走湯山を中心とした勢力によって開削され、山岳修行の聖地となっていったのではないかと思われる」と指摘している。 大高氏によれば、史実として富士山に登ったことが明らかなのは末代上人だという。平安時代末期に編さんされた歴史書「本朝世紀」の中に富士登山をして山頂に大日寺を構えた「富士上人」として登場しているのだ。末代上人も伊豆走湯山で修行をした修験者のようだが、どのような人物なのだろうか?