知らないと絶対に損…「論理的でアタマが良い人」が必ず実践している、「思考力」を飛躍的に高めるための「超」基本的なこと
先行きが見えない「答えのない時代」を生きる私たちにとって、「自分の頭で考える力」は必須です。でも、何をどのように考えれば良いのか、どのように勉強すれば良いのか、具体的な方法がわからない人も多いでしょう。 【写真】「論理的でアタマが良い人」が必ず実践している、「思考力」を高める基本 気鋭の哲学者・山野弘樹氏が、自分の頭で考えて学びを深めるための方法=「独学の思考法」をわかりやすく解説します。 ※本記事は山野弘樹『独学の思考法』(講談社現代新書)から抜粋・編集したものです。
初めに「問い」ありき──そもそもなぜアーギュメントが求められるのか
何かを論証することができている文章は、説得的で、魅力的です。レポートや企画書など、ロジカルに文章を書くことを要求されている場面においては、とりわけこうした説得的な文章を書く必要があります。 それでは、私たちはいかにして、論証の核となるアーギュメントをしっかりと組むことができるのでしょうか? ここで私たちが立ち返らなければならない思考力は、実は第1章において取り上げた「問いを立てる力」です。初めに「問い」ありき──それこそが、アーギュメントを作るときに最も意識しなければならない点です。 そもそも、私たちは文章を書くとき、なぜアーギュメントが求められるのでしょうか? それは、私たちの身の回りに、解決しなければならない問題が数多く存在しているからです。 「地球環境のためにすべきことは何か?」、「社会問題に取り組むために、まずできることは何か?」、「今後この組織は、どういう方向性を取るべきなのか?」……こうした深刻な問いが出発点にあるからこそ、私たちは説得的なアーギュメントを作ることを求められるのです。 初めの問いが小さければ(例:「今晩の夕食は何にする?」)、私たちは特段アーギュメントを求められることもありません。なぜならそうした小規模の問いであれば、アーギュメントを組むまでもなく、具体的な選択肢を述べるだけで会話は事足りてしまうからです(例:「ハンバーグ」)。
「いったい何が問題になっているのか?」を理解する
真剣にアーギュメントを組みたい場合、私たちがまず最初になすべきことは、社会的に見て意義のある深刻な問いをまず見つけることです。 もちろん、「私はどうやって生きるべきか?」という個人的な問いも非常に切実なものですが、それはどちらかと言えば、アーギュメントよりも、信念の次元に属するテーマです。そして、個人的な信念を有する際に、必ずしも毎回アーギュメントを要求されるわけではないのです。 社会的に意義のある深刻な問いを引き受けるためには、「いったい何が問題になっているのか?」ということをまず正確に理解する必要があります。 このとき、問題の争点を取り違えてしまったり、問題を矮小化してしまったりすると、そもそも出発点からしてつまずいてしまうことになります。 「解決されるべきであるのに、なかなか解決されない問題」というものは、多くの場合ジレンマを抱えているのです。そのジレンマを見抜き、「旧来の解決策を阻む問題の難しさ」を正確に見抜くことがまず必要になります。 言い換えれば、「この問題の真の難しさはどこにあるのか?」ということを問わなければならないのです。遠回りに感じるかもしれませんが、こうした意味での「問いを立てる力」がなければ、論証(アーギュメントの構成)という行為は達成されえません。 さらに連載記事<アタマの良い人が実践している、意外と知られてない「思考力を高める方法」>では、地頭を鍛える方法について解説しています。ぜひご覧ください。
山野 弘樹(哲学研究者)