関学が富士通に完敗で学生8連敗。ライスボウルの見直しは必要か?
アメリカンフットボールの日本選手権、第70回ライスボウルが3日、東京ドームで行われ、Xリーグ王者の富士通フロンティアーズが30―13のスコアで大学王者の関西学院大学ファイターズを下して2年ぶり2度目の優勝を果たした。 オフェンス、ディフェンスに、それぞれ2人の外国人選手を擁する富士通は、完璧なディフェンスで関学の攻撃を封印した。本来、ひとつのミスもできなかったはずの関学は、いきなり第1Qの最初の攻撃シリーズでQBの伊豆光浩(4年)がボールが手につかずファンブルを犯すなど富士通の強烈なプレッシャーに押された。 試合前から宣言していたように、4thダウンでもギャンブルと見せかけてパント、あるいはパントフォーメーションから蹴らずにラン、パス攻撃を仕掛けるなど、様々なスペシャルプレーで幻惑してみせるが、そのほとんどが空回り、前半は敵陣にさえなかなか入れなかった。 「何をしてくるかわからず、すべてをカバーできたわけじゃなかったが、一人ひとりがしっかりと役割を果たしたのがディフェンスの要因」とは、就任12年目にして2度目の優勝を味わった富士通の藤田智ヘッド。京大黄金のコーチからスタート、日本代表チームまで任された日本のアメリカンフットボール界有数の頭脳は、関学が用意したスペシャルプレーにもあわてなかった。 そして、オフェンスではMVPに輝いたQBのコービー・キャメロン(26、ルイジアナ工科大)が、要所でNFL級のロングTDパスを3本も決めた。「シーズン中は、あそこまでロングは決まらなかった。でも試合前に藤田ヘッドにパスを多く使ってくれと、お願いしていた」という、WRの中村輝晃クラーク(27、日大)とのホットラインで2本。クラークは難しいボールを高いスキルでキャッチした。 ランプレーでは、RBのジーノ・ゴードン(28、ハーバード大)にボールを集め、関学ディフェンスを混乱させる大きなアクセントとなった。ハーバード大時代には、アイビーリーグMVPを獲得した経験もあるランナーである。戦術的には、それほど変わったことはしていなかったが、オフェンスラインが、しっかりとコントロールしているから自由自在に攻撃を組み立てることが可能だった。 後半に反撃した関学は、試合終了残り45秒に意地の2本目のタッチダウンを奪ったが、期待していたWRの松井理己が前半で故障するなどのアクシデントもあり、13-30の点差以上に完敗の内容だった。 「個々の経験やずるがしこさのようなものが学生とはレベルが違った。組織力を高めたが、一人ひとりの力が及ばなかった」と、関学のキャプテン、山岸明生は涙をこらえきれなかった。 これでライスボウルは2009年に立命大がパナソニック電工に17-13で勝って以来、8年連続でXリーグ王者が勝った。関学にいたっては、2002年にアサヒ飲料に勝って以来、6連敗である。 ラグビーでも、社会人と学生の格差が開いたことで、日本選手権のシステムがトーナメント方式に変更されたが、こうも学生と社会人の格差が広がるとライスボウルのあり方を問う声が出てきても不思議ではない。 関学の鳥内秀晃監督に試合後、意見を求めると「あくまでも個人的意見やけど、ライスボウルなんていらんねん。やる意味ないでえ」と、学生側の立場で本音でズバっと言う。