関学が富士通に完敗で学生8連敗。ライスボウルの見直しは必要か?
「あのキャメロンの3発のロングパス。ディフェンスがかわいそうになった。作戦うんぬんのレベルでなく1対1で勝負できるようなタレントが揃わないと、とても勝負にならない。アメリカのNCAAディビジョン3あたりの優勝チームを呼んできて日本の学生王者がどれくらい通じるかの試合をやったほうがええんとちゃう?」 確かにフィジカルの能力と経験が圧倒的に違う外国人選手が攻守に4人も配置されているチームとの対戦には、試合前から関学は大きなハンディを背負っていた。 ある学生側の関係者は、「ライスボウルの特別ルールを作ってはどうだろうか。外国人の出場は、せめて一人に制限するなどのルールがないと、今後、学生はよほどのことがない限り勝てなくなる」と、ライスボウル特別ルールを作ることを提案する。 一方、Xリーグ(社会人)側にも「学生には負けられない」という大きなプレッシャーがのしかかる。 「確かに学生に負けたらひどいことになるが、試合前には、“関学は強い、オービック戦以上の試合をしないといけない”という話をしてきた」と、藤田智ヘッド。ライスボウルの意義が問われているのではないか?と質問をしたが、「それについては意見を言う立場にない。ただ、我々が絶対的に勝っているわけではなかったし、これだけのお客さんがきてくれて、自分たちの役割を果たすしかないと考えていた」と言う。 最高のアメリカンフットボールを見せるんだという高貴なプライドだろう。 ラグビーのトップリーグと同様、Xリーグの上位チームはどこも外国人を揃えていて、しっかりとした戦力強化をしなければ、リーグを勝つことができなくなっているという事情もある。 この日、東京ドームは、ほぼ満員の3万3521人ものファンで埋まっていた。ここ数年、ずっとこうだ。富士通グループの応援団、関学OBだけでなく、アメリカンフットボールファンにとって、「お正月に年に一度の頂上決戦を楽しむ」という意味合いもあるのだろう。イベントとしては、決して停滞しているわけではなく、むしろ逆。メディアの扱いに反して、毎年、右肩上がりの盛り上がりを見せている。 試合後、筆者が寄った水道橋の酒場では、キャメロンのロングパスを「なかなか見れないものを見れた」と感激しているファンもいた。ライスボウルが、今の日本のアメリカンフットボール界の最高の水準の戦術、スキル、モチベーションを表現する象徴としての舞台であるならば、普段は、Xリーグに足を運ばないファンが外国人プレーヤーの違いのあるスキルを見ることができる機会も捨てがたい。 だが、ここまで、外国人選手の有無がゲームに影響を与えるようになるのは公平性に欠く。しかも、Xリーグ側には、今後、外国人選手が減る傾向はないのだから、なおさら、ライスボウルの特別ルールの導入は検討、議論すべきだろう。Xリーグの中でも、外国人の出場に関しては、NFL(プロ)経験がない選手に限られ、チームの選手登録は4人以内、フィールド出場選手は2人以内と制限が加えられているのだ。 ライスボウルの勝敗に対してのファンの興味や、チーム、選手のモチベーションを保つためにもライスボウルの特別ルールとして外国人選手の出場人数制限やプレー時間制限は、早急に導入すべきだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)